広帯域パワーアンプの検証

最新の5Gや衛星の機能拡張に伴い、パワーアンプに要求される帯域幅の間隔はますます広くなっています。
増幅器は、理想的には複数の帯域をサポートする必要があります。このため、広帯域テストはかつてないほど重要になっています。

広帯域パワーアンプを検証するためのドリームチーム-SMW200AとFSW
広帯域パワーアンプを検証するためのドリームチーム-R&S®SMW200AとR&S®FSW

課題

広帯域パワーアンプの開発は、多角的な視点を必要とするタスクです。効率を最適化する一方で、所定の周波数バンドでのリニアリティーなどの一般的な性能基準や要求されるパワーレベルを満たす必要があります。広帯域信号にとって、EVMやAM/AM、AM/PM歪みはクリティカルなパラメータです。内部や外部の顧客から説明なしにテスト信号を渡されることもあり、復調が難しくなります。増幅器で最良の効率を得るための動作点はその圧縮に近い
ため、その性能は非線形性が高くなります。システムレベルでの性能の線形化には、デジタルプリディストーション(DPD)が助けになります。増幅器の検証には、使いやすいDPDツールが必要になります。

テストセットアップ
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ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツは、R&S®SMW200A ベクトル信号発生器とR&S®FSW スペクトラム・シグナル・アナライザを用いた広帯域増幅器テストのための閉ループソリューションを開発しました。この組み合わせのセットアップでは、最大2 GHzのRF帯域幅と、最大44 GHzのRF周波数をサポートしています。

R&S®FSW-K18 アンプ測定オプションは、信号発生器を制御する専用のテストアプリケーションであり、使いやすく、自動で同期されるセットアップが可能です。
R&S®FSW-K18オプションでは、増幅器の特性評価に必要な、主な機能がすべて得られます。非線形性や周波数応答、S/N比による信号劣化の原因を解析することができます。EVMやACLR、AM/AM、AM/PM、利得、利得圧縮などの多くの特性が1回のRF測定から求められます。

R&S®FSW-K18オプションの独自の方法により、どんなテスト波形も規格に関係なくEVMの導出に使用できます。ユーザーが信号タイプや構造を知らなくてもよく、これは要求するテスト波形を顧客が提供する場合にも言えます。その秘訣は、R&S®FSW-K18が受信した信号をベクトル信号発生器から送られる基準信号と比較する点にあります。

ほとんどの増幅器は一般的に、効率を改善するために圧縮に近く、非常に非線形なモードで動作します。R&S®FSW-K18による独自のEVMの方法では、標準的な復調技法よりも正確なEVMの測定結果が得られます。

5Gでは、その信号構造によってピーク対アベレージ比は非常に高くなります。一般的には、増幅器の効率を改善するためにクレストファクター低減が設置時に用いられます。ベクトル信号発生器のR&S®SMW-K548オプションでは、目標のクレストファクターを示すために信号操作が可能であり、追加の信号フィルターを適用します。

R&S®FSW-K18 アンプ測定アプリケーション
R&S®FSW-K18 アンプ測定アプリケーション
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R&S®FSW-K18オプションとR&S®FSW-K18D ダイレクトDPD測定オプションを組み合わせれば、2つのデジタルプリディストーションが可能になります。

  • R&S®FSW-K18では、増幅器のAM/AM挙動やAM/PM挙動を最適化する多項式に基づいたモデルが提供されます。テストルーチンを加速するために、信号発生器は波形を再計算せずに直接、リアルタイムにDPDモデルを信号に適用します。この方法は、移動式の増幅器や内蔵のフロントエンドで有効です。
  • アドオンのR&S®FSW-K18Dオプションは、ダイレクトDPDを実行し、デバイスの線形化性能を評価します。これには、メモリ効果や他の非線形性が含まれます。これは特に、最新のGaNテクノロジーを用いるインフラや衛星アプリケーションには極めて重要です。ダイレクトDPDは、多項式に基づくものではありません。ダイレクト・デジタル・プリディストーション(ダイレクトDPD)を行い、周波数応答やスペクトラム性能を反復補正します。R&S®FSW-K18Dの測定結果からモデルを導出するには、無料のアプリケーションノートに記載のMATLAB®ツールキットが利用できます。
ダイレクトDPDによる測定結果
ダイレクトDPDによる測定結果
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R&S®FSW-K18Fオプションは、メモリ効果の詳細を調査し、デバイスの周波数応答や群遅延を解析します。周波数応答では、振幅/位相におけるチャネル応答を基準信号に対して表示します。群遅延からは、使用された帯域幅全体にわたる時間遅延に関する情報が得られます。

周波数やパワー出力範囲にわたる特性評価を容易にするために、R&S®FSW-K18では自動のパラメータ掃引が可能です。パラメータ掃引では、ユーザー定義の掃引範囲にわたって信号発生器の掃引を制御し、各掃引ポイントで必要な測定を行います。測定結果は3Dグラフィックで表示され、取得データの概要が示されます。もちろん、すべての測定結果が詳細な調査やリモート抽出に利用できます。

周波数応答/群遅延測定
周波数応答/群遅延測定
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まとめ

ローデ・シュワルツのアンプ測定アプリケーションは、広帯域増幅器の特性評価に重要な測定をすべてサポートする使いやすいツールセットを提供します。非線形性を解析し、統合されたDPDソリューションによって改善を行い、どんなテスト信号でもEVM性能測定結果が得られます。

自動パラメータ掃引の測定結果表示
自動パラメータ掃引の測定結果表示

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