さまざまな分野での活躍

6G:専門家の横顔(ボート漕ぎ、同僚からの表彰、そして無敵のチームまで)

イノベーションを成し遂げるのは優秀な頭脳です。ローデ・シュワルツのテクノロジーマネージャー3人をご紹介します。この3人の専門家は、4G、5G、6Gテクノロジーに関する分野に、長年にわたって取り組んできました。彼らは、自分の仕事と未来の展望についてどのように考えているのでしょうか?

Meik Kottkamp

ボート漕ぎマニアで無線通信の専門家であるMeikへの4つの質問

無線テクノロジーマネージャーとして、6Gにはどのような課題があると思いますか?

私は過去の世代の無線通信技術を、私の人生の節目の時期に重ね合わせています。2Gが登場したころ、私は20歳前後でした。だから、3G、4G、そして5Gの登場は、それぞれ私の30、40、50歳に対応するわけです。6Gが市場に投入されるころ、私は60になっているはずです。皆さんが期待しているように、2030年に展開が始まればです。どの世代にも技術的課題はありますが、次の世代の最大の課題は、この拡大された通信チャネルを安全に使用でき、あらゆる意味で依存できるようにすることだと思います。

ご自宅のオフィスには、ローイングマシンに乗ったすてきな写真が飾られていますね。6Gでそれはどのように変わるのでしょうか?

通信と現実/仮想世界の融合は、6Gの技術的基盤です。例えば、実際の湖でボートを漕いで、その体験と周囲の景観を、ライブで友人たちと共有できるようになると思います。

自宅オフィスに飾られているローイングマシンに乗ったMeikの写真

6G時代の私たちの生活を、3つの形容詞で表してください。

どのような技術進歩にも一般的に用いられる3つの形容詞は、もちろん「よりよく、より高速で、より進化している」です。そして当然、次の世代の到来とともに、セルラー無線システムの性能も向上します。ただし、6Gでは新しい課題が注目されるようになると思うので、6G時代の私たちの生活は、「相互接続され、融合され、持続可能なもの」になると申し上げておきましょう。

未来についてですが、6Gで可能になるイノベーションのうちで最も楽しみなものは何ですか?

エンドユーザーの観点からは、つまり主にスマートフォンユーザーということになりますが、拡張現実とジェスチャー制御を巡る可能性だと思います。また、環境情報を利用してどの程度データ伝送を最適化できるかにも注目しています。もちろん、ほかにも思いがけない進歩があちこちで起きて、私たちの生活すべてを変えていくはずです。90年代に、テキストメッセージあたりの送信文字数を減らすことで、SMSがグローバルな成功を収めることになると誰が予想したでしょうか?未来はいつも刺激的であり、その未来を形作るためにわずかでも貢献できることを私は楽しみにしています。

Reiner Stuhlfauth

ウェビナーマニアのReinerへの4つの質問

Reinerさんはローデ・シュワルツに入って22年以上になり、最初はトレーナー、現在はテクノロジーマネージャーとして働いておられますが、これまでに克服する必要があった課題としてどのようなものがありますか?

トレーナーの仕事を始めたころは、「現場で答えられない質問をされたらどうしよう」と考えていました。そのときのメンターが私にくれたアドバイスは、「すみません、わかりません。後ほど調べてお答えします」と正直に言うことでした。そのために、ローデ・シュワルツには高度な専門家が揃っているのです。教えてくれるチームメンバーが必ずいるはずです。

イントラネットで、同僚のJeremyさんから「ウェビナーマニア」と呼ばれ、賞まで贈られていましたね。これはなぜですか?

2021年に私が実施した自動車用の5G接続に関するウェビナーは、たくさんの方々に参加していただき、関連するホワイトペーパーのダウンロード回数は数千回に達しました。このことは、自動車業界向けの5Gに関して、一般の間でも当社のお客様の間でも、大いに関心が高まっていることを示しています。そのため、この分野に関しては、今後もさまざまな活動やイベントが計画されています。

ウェビナーマニアのReiner(左)に賞を贈る同僚のJeremy(右)

5Gと6Gに関して何回くらいウェビナーを実施されましたか?

……たくさんです。過去2年間では、5Gに関して10回くらいでしょうか。多くの人の前に出ることは、私にとってとても重要なのです。過去には、北米をはじめ全世界で、ローデ・シュワルツのセミナーツアーを開催したこともあります。今でも思い出に残っている楽しい経験で、パンデミックが収まったらぜひまたやりたいと思っています。

未来についてですが、8Gはどれくらい先でしょうか?そのとき通信しているのは、誰なのか、あるいは何なのでしょうか?

コミュニケーションは人間だけが持つ能力です。したがって、8Gの時代になっても、主役はやはり人間でしょう。変わるのは、人間同士のコミュニケーションの方法だと思います。8Gはいつごろ登場するでしょうか?2050年ごろではないかと思いますが、正直に言って、未来を予測するのはとても難しいのです……

Taro Eichler

アジアのスペシャリストTaroへの4つの質問

Taroさん、Meikさん、Reinerさんの3人はチームですが、このチームが無敵である理由は何ですか?

私たち全員が無線通信のエキスパートですが、それぞれ専門領域を持っているので、互いに理想的な補完関係にあるのです。Reinerは、技術的専門知識を持つだけでなく、ウェビナーやワークショップの実施についてもエキスパートです。Meikは標準化について経験が豊かであり、インダストリー4.0とヨーロッパ、特に北ヨーロッパでの5Gが専門分野です。私については、量子光学の分野の研究者として10年間を過ごしたので、新しい光テクノロジーが6Gにもたらす可能性に特に興味があります。また、日本で6年間働いたことがあるので、アジアが専門分野です。

2021年12月にマドリードで行われたIEEE Globecom Conferenceに参加されましたね。そこからおもしろい写真を持ち帰られました。何が写っているのですか?

これは、300 GHzでのチャネル測定のデモの際に撮られたものです。これのどこが特別かというと、このデモはローデ・シュワルツのブースで生で行われたのです。したがって、例えば、周りの人々の動きによって無線チャネルにどのような影響が出るかを観察できました。モニターに映っている小さいスパイクは、壁で反射した信号を表しています。このようなデモを行っていたのはわれわれだけだったので、カンファレンスで多くの反響をいただきました。

300 GHzでのチャネル測定のデモ

いくつかの学生グループがミュンヘンのキャンパスを訪れて、Taroさんの講義を聴いたそうですね。若い人材に刺激を与えることは、テクノロジーマネージャーの仕事においてどの程度重要なのですか?

この上なく大切です。だから、マドリードのカンファレンスのような、学界主催あるいは学界/産業界共催のイベントは、私にとってとても重要なのです。もちろんそれは、一般的に産業界が主催するトレードフェアについても同じです。若い人たちにローデ・シュワルツのイノベーションに興味を持ってもらうのは、とても楽しいことです。結局、自動運転やエクステンデッドリアリティーを進歩させるには、意欲のある若い才能にアイデアを実現してもらい、共に未来に向けてイノベーションを推進していく必要があるからです。

未来についてですが、自宅に置かれる最初の6G対応デバイスは何になると思いますか?

たぶんスマートフォンでしょうね。ただ、私はオーケストラでバイオリンを弾いているので、将来仮想空間で十分な品質の合奏ができるかどうかには興味があります。もっとも、パンデミックでわかったように、直接会うことの重要性はなくならないでしょうがね……