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R&S®Essentials | スペクトラム・アナライザの基礎

チャネルパワー測定を理解する

著者:電子計測エキスパート、Paul Denisowski

以下では、チャネルパワーとは何かを解説し、チャネルパワー測定の最も一般的な3つの方法についての概要を示します。

チャネルパワーを理解するには、チャネルを定義する必要があります。無線通信/放送システムによって信号が伝送される場合、多くの場合は特定の周波数レンジ、すなわちチャネルが割り当てられています。信号パワーの大半は、このチャネルの内部に存在する必要があります。

チャネルはスタート/ストップ周波数でも定義できますが、もっと一般的な方法としては、幅と中心周波数によって定義されます。

チャネルパワーは、与えられたチャネルの定義されたチャネル帯域幅内にあるすべてのパワーの合計と定義されます。

チャネルパワーは絶対パワー測定であり、結果はdBmなどの単位で表されます。場合によっては、信号のパワーがチャネルの境界を超えて外部に漏れ出すことがあります。このような漏洩、すなわちチャネル外部のエネルギーの測定は、ACLR(隣接チャネル漏洩電力比)と呼ばれます。

チャネルパワーは、特に無線通信サービスで使用される信号に対するきわめて一般的な測定です。チャネルパワーを測定する主な方法としては、以下の3種類があります。

  • RFパワーセンサを使用する。
  • スペクトラム・アナライザでゼロスパン法を使用する。
  • スペクトラム・アナライザで積分帯域幅法を使用する。

RFパワーセンサを使用してチャネルパワーを測定する

RFパワーセンサは、チャネルパワーの測定に使用できます。この方法には、いくつかの利点があります。この測定は非常にシンプルであり、パワーセンサは比較的安価です。この測定はフィールドで行われることが多いので、パワーセンサのポータビリティが役立ちます。また、パワーセンサによっては、きわめて正確な結果が得られるものがあります。パワーセンサによるチャネルパワー測定には、特別な構成は必要ありません。単にセンサを信号に接続して、結果を読み取るだけです。

パワーセンサ法が使用できるのは、測定対象の信号がセンサのRF入力に存在する唯一の信号である場合だけです。パワーセンサの帯域幅内に他の信号が存在する場合、それらを除去する必要があります。そうしないと、必要なチャネルのパワーだけでなく、センサの帯域幅内のすべてのパワーの合計が測定されてしまいます。

スペクトラム・アナライザでゼロスパン法を使用する

チャネルパワーを測定するもう1つの方法は、スペクトラム・アナライザのゼロスパンモードを使用することです。アナライザは、スパン(ある範囲内の周波数)を掃引するのではなく、スパンを0に設定して、チャネルの中心周波数に留まります。アナライザは分解能帯域幅内のパワーを測定し、チャネルパワーはディスプレイ上に線で表されます。

パワーは手動で読み取ることも、マーカーを使用して読み取ることもできます。ゼロスパンモードでは、パワーを測定するので、RMSディテクターを使用する必要があります。

ゼロスパンモードでチャネルパワー測定を行う場合、チャネル帯域幅よりわずかに大きい分解能帯域幅を選択する必要があります。例えば、チャネル帯域幅が1.4 MHzの場合、分解能帯域幅は3 MHz程度が適切です。ただし、チャネル帯域幅が大きい場合には、問題が生じることがあります。信号全体をカバーするのに十分な大きさの分解能帯域幅が、スペクトラム・アナライザに存在しない可能性があるからです。

また、分解能帯域幅の内部に他の信号が存在しない必要があります。ゼロスパンモードで掃引時間を長くすると、一般的に測定結果が改善されます。

スペクトラム・アナライザで積分帯域幅法を使用する

最近のスペクトラム・アナライザでは、チャネル帯域幅と周波数を指定すると、チャネルパワーを自動的に計算できます。この測定は、チャネル帯域幅内の積分によって行われるため、積分帯域幅法と呼ばれることがあります。ゼロスパン法と同様、この方法でもRMSディテクターを使用する必要があります。

まとめ

チャネルパワーとは、チャネル内に含まれるパワー、すなわち与えられた帯域幅、または上限周波数と下限周波数の間のパワーです。

チャネルパワー測定の3つの主な方法

  • パワーセンサを使用する。
  • ゼロスパンモードのスペクトラム・アナライザを使用する。
  • スペクトラム・アナライザで積分帯域幅法を使用する。

チャネルパワーはパワー測定なので、スペクトラム・アナライザでチャネルパワーを測定する場合、ディテクタータイプは常にRMSに設定する必要があります。

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