R&S®NRQ6およびR&S®VSEによる5G FR1 MIMO信号の解析

R&S®NRQ6 周波数選択型パワー・センサ
R&S®NRQ6 周波数選択型パワー・センサ
ライトボックスを開く

課題

MIMOレイヤー間の位相差の測定は、5G基地局のデザインにおける困難な作業の1つです。R&S®NRQ6 周波数選択型パワー・センサとR&S®VSE 信号解析ソフトウェアを使えば、この測定とその解析を容易に実行できます。

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®NRQ6は、レシーバーアーキテクチャーに基づいています。選択した伝送チャネルに対して、帯域制限されたパワー測定を実行できます。動作周波数レンジは50 MHz~6 GHzで、最小-130 dBmまでの測定が可能です。このアプリケーションでは、R&S®NRQ6がスタンドアロンのRFフロントエンドとしてMIMO信号を捕捉します。その後、I/Qデータを後処理のためにR&S®VSEソフトウェアに送ります。

R&S®VSEはクラウド対応の信号解析ソフトウェアであり、ローデ・シュワルツのシグナル・アナライザの操作性と高度な機能をデスクトップ上で提供します。このアプリケーションには、R&S®VSE-K144およびR&S®VSE-K146オプションのご使用を強く推奨します。R&S®VSE-K144オプションは、各レイヤーの5G NRアップリンク/ダウンリンク信号を解析する役割を果たし、5 MHz~100 MHzのすべての搬送波帯域幅と、QPSKから256QAMまでのさまざまな変調方式に対応します。

R&S®VSE-K146オプションは、I/Qデータを復調して解析結果を提供します。これにより、5Gダウンリンク信号に対する8x8 MIMO測定が可能になります。このセットアップのその他の利点として、MIMO信号の復調、アンテナ間の位相差の測定、ビームフォーミングの特性評価が挙げられます。また、ほかにも多くの5G測定をサポートします。

  • EVM
  • コンスタレーションダイアグラム
  • I/Qオフセット
  • ゲイン不均衡
  • 直交エラー
  • 中心周波数エラー(シンボル・クロック・エラー)
  • アロケーション・サマリ・リスト
  • チャネルデコーダーの結果
  • アベレージング
R&S®VSEによる5G MIMO解析
R&S®VSEによる5G MIMO解析
ライトボックスを開く

測定セットアップ

測定セットアップでは、1次デバイスと2次デバイスの原理が用いられます。このセットアップは、1次デバイスの役割を果たすR&S®NRQ6 パワー・センサ1台と、2次デバイスの役割を果たすR&S®NRQ6 パワー・センサ4台から構成され、4つのMIMO位相コヒーレント信号を捕捉します。このセットアップ内のR&S®NRQ6 パワー・センサは、すべてLAN経由で制御され、Power-over-Ethernet(PoE+)を必要とします。

1次デバイスのR&S®NRQ6は、すべての2次デバイスに3つの信号を供給します。

  • 同期収集用のトリガ信号
  • 同一のクロック信号
  • 局部発振器(LO)用のカップリング信号

2次デバイスの数は、MIMOレイヤーの数によって変わります。それぞれの2次デバイスが、DUTからの1つのMIMOレイヤーのデータストリームを捕捉します。その後、RF信号はベースバンド信号にダウンコンバートされ、I/QデータがR&S®VSEに送られて後処理されます。

注意:1次デバイスから各2次デバイスへの接続は、すべて対称的である必要があります。すなわち、外部トリガ、サンプリングクロック、局部発振器(LO)用のケーブルの長さは同一である必要があります。

R&S®NRQ6およびR&S®VSEを使用して5G FR1の4レイヤーMIMO信号を測定するためのセットアップ
R&S®NRQ6およびR&S®VSEを使用して5G FR1の4レイヤーMIMO信号を測定するためのセットアップ
ライトボックスを開く

まとめ

この強力なセットアップにより、最大8つのMIMOレイヤーを同時に解析できます。R&S®VSEはすべてのR&S®NRQ6 パワー・センサにLAN接続を提供し、R&S®NRQ6は位相コヒーレントI/Qデータを信号解析のためにR&S®VSEソフトウェアに提供します。データ処理はR&S®VSEによって行われ、MIMOレイヤー間の位相差のデータも出力されます。