RFコンポーネントのオンウエハー検証

RFコンポーネントのウエハーレベルでの検証を早い段階で行うことにより、品質を保証し、コストを削減することができます。

R&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザ
R&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザとFormFactor SUMMIT200プローブシステムの組み合わせによるオンウエハー測定。
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課題

5G RFフロントエンドの開発者にとっての基本的な課題は、周波数カバレッジと出力パワーに関して適切なRF性能を確保すると同時に、エネルギー効率を最適化することです。パワーアンプ、低雑音増幅器/スイッチ、一体型RFフロントエンドMMIC(モノリシック・マイクロ波集積回路)などのアクティブコンポーネントの開発では、RF設計を調査する最初の機会は、ウエハーの製造直後のテストです。設計をできるだけ早期に検証するためには、性能と機能をウエハーレベルで確認するのが理にかなっています。

不良デバイスのパッケージングを回避するためには、ウエハーランの品質を確認することも製造段階では非常に重要です。パッケージングがデバイスに大きな付加価値をもたらす場合には、これは特に重要です。このため、規格に準拠しないデバイスや不良デバイスにかかるコストを最小限に抑えるためには、できるだけ早期にデバイスを検証することをお勧めします。

校正サブストレート上の基準に接触しているFormFactor InfinityXT RFプローブ。
校正サブストレート上の基準に接触しているFormFactor InfinityXT RFプローブ。
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FormFactorとの協力により実現したローデ・シュワルツのソリューション

DUTをウエハーレベルで評価するには、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)、プローブステーション、ケーブル/アダプター、ウエハープローブなどの測定システムが必要です。ローデ・シュワルツは、FormFactorと協力して、ウエハーレベルのテストに取り組んでいます。その結果、FormFactorとVNAを提供しているローデ・シュワルツとの統合ソリューションが実現しました。同軸/導波管アダプターを使用しているかどうかに関わらず、あらゆるRF品質検証パラメータを測定できる高性能ワンボックステスタです。FormFactorは、ウエハーレベルのデバイス接触におけるパフォーマンスの最適化に取り組んでおり、温度制御、高周波プローブ、プローブポジショナー、校正ツールなど、手動/半自動/全自動のプローブシステムを豊富に取り揃えています。

RF特性の検証には、通常、連続波(CW)信号が使用されます。デバイスの自己発熱を制限するため、アクティブデバイスのテストでは、パルスド信号が印加されることもあります。次の2つの理由から、温度管理も重要です。第一に、信頼性および再現性の高い制御された測定を実現するには、DUTの温度条件を一定に保つ必要があります。第二に、過熱によってDUTが損傷または破損するおそれがあります。

FormFactor WinCal XEソフトウェアで、R&S®ZNA43をVNAとして選択。
FormFactor WinCal XEソフトウェアで、R&S®ZNA43をVNAとして選択。
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オンウエハーRFテストセットアップでは、VNAで通常使用されている同軸または導波管校正方法/基準を用いることはできません。ウエハーレベルで正確かつ一貫した校正結果を得るためには、校正サブストレート上で実行されるプローブチップ校正手法を用いる必要があります。これらのサブストレートには、集中定数エレメントのインピーダンス基準、校正および検証ライン、プローブのアライメントマーク、プローブ平坦化用領域が含まれます。R&S®ZNAなどの完全なテストシステムの校正は、FormFactor WinCal XE校正ソフトウェアによって完全にサポートされています。校正データをVNAに適用する場合は、使用するRFプローブの先端に向かって測定面をウエハーまで下げます。これにより、オンウエハー測定用の完全に校正済みのVNAテストシステムが実現します。

R&S®ZNA67とFormFactor SUMMIT200プローブシステムを用いて実行された複数の40 psライン基準の測定。
R&S®ZNA67とFormFactor SUMMIT200プローブシステムを用いて実行された複数の40 psライン基準の測定。
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アプリケーション

オンウエハー・テストソリューションは、被試験デバイスのRF性能を詳細に評価できます。このソリューションを使用すれば、完全に校正済みのセットアップにより、VNAのすべてのテスト機能を使用できます。一般的なSパラメータテストにより、フィルターやアクティブデバイスの特性を評価できます。歪み、利得、相互変調を測定して、パワーアンプを検証することもできます。オンウエハー・テストソリューションでサポートされている測定アプリケーションのもう1つの例として、DUTの帯域幅全体の位相特性の評価によるミキサーの周波数変換測定があります。完全に校正済みのセットアップにより、校正データがVNAに直接適用されるため、ポストプロセッシングなしでVNAから直接すべての結果を取り込むことができます。

オンウエハーデバイスの特性評価により、開発の早い段階で設計を検証できるだけでなく、製造段階で製品の品質を保証および検証することができます。ローデ・シュワルツとFormFactorの統合ソリューションを使用すれば、被試験デバイスの特性を簡単に評価/検証できます。