正規化干渉源に対する車載用レーダーのテスト

車載用レーダーセンサは、干渉の問題に対処する必要があります。R&S^®パルス・シーケンサ・ソフトウェアは、24 GHz、77 GHz、79 GHz周波数バンドで動作する車載用レーダーをテストするために、任意のRF環境をシミュレートし、レーダーの正規化干渉源の作成をサポートします。

課題

車載用レーダーは、安全性が最重要視されるため、混み合ったこの周波数スペクトラムでレーダーエコー信号の適切な検出、正確な距離、ドップラー、方位角の測定、目標物の分類を確実に行うには、干渉緩和機能を実現する必要があります。限られた無認可のスペクトラムをさまざまなタイプの車載用レーダーセンサが共用するため、レーダーセンサどうしが互いに干渉する可能性があります。

航行レーダーには、干渉のテストと緩和のために、IEC 62388:2013などの規制と規格がありますが、車載用レーダーにはそのようなものがありません。レーダー処理では、同じバンドの他のRF信号から干渉されると、測定対象の周波数スペクトラムのノイズレベルが上昇します。こうした信号がレーダーレシーバーと同じ帯域幅にある場合は、エコー信号のS/N比が大幅に低下するため、検出確率はすぐに低下します。

歩行者のようにレーダー断面積の小さいオブジェクトは、検出されなかったり、追跡中に失われたりすることがあり、都市交通では危険な状況につながりかねません。そのため、正規化干渉源を使用して車載用レーダーの機能をテストし、干渉緩和の方法や干渉に対する信頼性を検証することが必要です。あらゆる種類の車載用レーダーをテストするために、様々な車載用レーダーバンドに属す広帯域RF信号を任意に組み合わせて、正規化干渉源を作成する必要があります。

電子計測ソリューション

柔軟で使いやすいローデ・シュワルツの正規化干渉源ソリューションは、車載用レーダーのテストに適した高度な方法です。あらゆるタイプの車載用レーダーセンサを対象としており、センサの研究開発段階から最終的な受け入れテストまでの期間だけでなく、運用が終了するまで、さらに今後使用される新しい波形をテストするときにも使用することができます。

テストセットアップは、強力なソフトウェアプログラム、ベクトル信号発生器（トランスミッターとして機能）、周波数逓倍器で構成されています。R&S^®パルス・シーケンサ・ソフトウェアは、任意の変調、空間位置、アンテナ動作、アンテナパターンを持つあらゆるタイプの正規化干渉信号を作成するために使用します。さまざまな正規化干渉信号と信号源を使用して、複雑なRF環境をシミュレートすることも可能です。

定義した信号をローカルネットワークまたはUSBスティックでR&S^®SMW200Aなどのベクトル信号発生器に転送します。広帯域ベースバンドハードウェアを内蔵するベクトル信号発生器は、24 GHzのISMバンドの無線周波数で、最大2 GHzの信号帯域幅のI/Q変調信号を作成します。さらに、R&S^®SMZ90周波数逓倍器は、作成された位相／周波数変調信号およびパルスド信号を77 GHzおよび79 GHzバンドにアップコンバートすることができます。非伝導環境では、専用のアンテナを使用して被試験デバイスにテスト信号を送信します。このコンパクトな正規化干渉源テストソリューションは、設定可能なパラメータを関連するあらゆる車載用レーダーバンドで使用して、レーダー干渉信号を現実的な形でエミュレートします。

このソリューションを研究開発の早い段階で使用して、干渉の多い電磁環境での車載用レーダーの性能を解析することもできます。

主な利点

• 正規化干渉源パラメータの簡単な設定と短時間での再設定
• 完全に校正された広帯域ベースバンドハードウェア内蔵（R&S^®SMW200A）
• 数種類の正規化干渉源の作成
• カスタマイズされた信号波形の作成
• スタンドアロンの市販のソリューション：レーダーセンサとの同期は不要
• パルスド信号、周波数／位相変調信号の無線周波数をEバンドに拡張（R&S^®SMZ90）
• フルリモート制御