ブロッキング特性の効率的なテスト

R&S®SMW200A ベクトル信号発生器は、デュアルパス方式と最大20 GHzのハイパワー信号発生に対応しているため、ブロッキング特性を効率的にテストするのに最適です。

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課題

無線レシーバー(モバイルデバイスや基地局など)のブロッキング特性は、干渉信号の存在下でレシーバーが必要な信号(基準チャネル)を受信する能力を表します。レシーバーのこれらの特性は、感度抑圧特性とも呼ばれ、レシーバーの感度に大きな影響を与え、その結果、セルのカバレッジにも大きな影響を及ぼします。このため、ほぼすべての無線(コンフォーマンス)テスト規格でブロッキング特性のテストケースが規定されています。

ブロッキングテストのパラメータは、テスト対象の無線規格(LTEなど)やデバイスタイプに大きく依存します。テストの原理は基本的に同じです。ベクトル信号発生器は、一定のパワーレベルと周波数でテスト対象のレシーバーやトランシーバーに必要な信号を提供します。もう1つの信号発生器は、非常に大きなパワーレベルで、指定された変調および無変調(CW)の干渉信号をレシーバー入力に提供します。多くの場合、テストケースの規定に従って上側のバンド外領域で高周波CW干渉信号を提供するために、マイクロ波発生器も必要になります。

一般に、干渉信号は、指定ステップ幅を使用して、最大12.75 GHzまでの広い周波数レンジをカバーする必要があります。干渉信号の周波数レンジは、通常、バンド内とバンド外の領域に分けられ、運用バンドの上下に大きく広がっています。

干渉信号のレシーバー性能への影響を評価するには、干渉信号の周波数ステップごとにデータスループットやビットエラーレート/ブロックエラーレートを測定します。干渉信号の周波数ステップ数は膨大な数になるため、これらのテストは通常完全に自動化されています。従来の方法では、最大3台の信号発生器を使用して、高いパワーレベルと広い周波数レンジで必要な信号と干渉信号を提供します。このため、テストセットアップが複雑で時間のかかるものになります。

LTE基地局コンフォーマンステスト規格3GPP TS36.141に準拠したブロッキングテスト信号
LTE基地局コンフォーマンステスト規格3GPP TS36.141に準拠したブロッキングテスト信号

電子計測ソリューション

デュアルRFパス方式に対応したR&S®SMW200A ベクトル信号発生器は、各種規格(LTE、WCDMA、GSM/EDGEなど)やお客様固有の要件に従って無線レシーバーおよびトランシーバーのブロッキング特性を効率的にテストできるコンパクトなソリューションです。R&S®SMW200Aの1つのRF経路で、必要な変調信号が提供されます。もう1つのRF経路は、指定された干渉信号の発生に使用されます。R&S®SMW200Aに12.75 GHzまたは20 GHzのハードウェアオプションを搭載すると、変調されたバンド内の干渉信号と、下側と上側のバンド外領域(最大12.75 GHzまたは20 GHz)に対する必要なCW干渉信号を発生できます。このため、ブロッキング周波数レンジ全体(例:LTE基地局のテストでは1 MHz~12.75 GHz)を1台の信号発生器でカバーすることができます。また、コロケーションブロッキングテストなどの一部のブロッキング特性テストでは、ハイパワーの干渉信号が必要になります。R&S®SMW200Aは、+18 dBmの仕様出力パワーを備えているため、外部パワーアンプを追加することなく、このようなハイパワーのRF信号をサポートできます。

ブロッキングテストに対応したSMW200A LTEテスト・ケース・ウィザード。
ブロッキングテストに対応したR&S®SMW200A LTEテスト・ケース・ウィザード。
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関連するデジタル規格ソフトウェアオプションに含まれるテスト・ケース・ウィザードを使用することにより、LTEおよびW-CDMA基地局での規格に準拠したブロッキング・コンフォーマンス・テストを大幅に簡素化することができます。このウィザードでは、必要な信号と干渉信号の信号パラメータがすべて自動的に構成され、出力されたテスト信号がグラフィカルに表示されます。

R&S®SMW200Aは、ハイパワー信号発生、優れた信号純度、小さな不確かさを兼ね備えているため、無線レシーバーおよびトランシーバーでのブロッキング特性テストを1台で効率的に行うことができます。

特長

  • 必要な信号と干渉信号を1台で提供
  • 最大20 GHzの干渉信号を発生
  • 不確かさの非常に小さい+18 dBmの仕様のハイパワーRF出力
  • 3GPP TS 36.141およびTS 25.141に準拠したLTEおよびW-CDMAテスト・ケース・ウィザード
コンパクトなブロッキング特性テストセットアップ
コンパクトなブロッキング特性テストセットアップ:2パス方式のR&S®SMW200Aでは、最大20 GHzの必要な信号と干渉信号がハイパワー出力で提供されるため、ブロッキング特性テストを1台で効率的に行うことができます。