マルチ周波数、マルチコンスタレーションGNSSレシーバーのシンプルなテスト
R&S®SMBV100B ベクトル信号発生器を、ラボでのレシーバーテスト用のマルチ周波数、マルチコンスタレーションGNSSシミュレータとして使用できます。
R&S®SMBV100B ベクトル信号発生器を、ラボでのレシーバーテスト用のマルチ周波数、マルチコンスタレーションGNSSシミュレータとして使用できます。
最新のGPS、GLONASS、Galileo、BeiDouなど、現在利用可能なすべてのGNSS(Global Navigation Satellite System)は、Lバンド内の複数の周波数で位置決定サービスを提供しているか、少なくとも提供を計画しています。異なる搬送波上のさまざまな信号を利用することで、レシーバーの位置推定(ナビゲーションソリューション)の精度、信頼性、および干渉に対する耐性を大幅に改善できます。これは、L1、L2およびL5信号で動作しているレシーバーは、電離層遅延を計算し、対応する位置誤差を除去できるからです。利用可能なすべてのGNSSを考慮した場合、宇宙空間内の航法衛星(測位衛星)は120基を超えます。世界中のほとんどの場所からは、平均で約30基の衛星が見えます。これらの宇宙機(SV)のそれぞれは、異なる周波数での複数の位置決定サービスを提供しています。見える衛星からの信号は見通し線(LOS)で受信されるだけではなく、近くの建物や他の物体で反射されて受信されます。
明らかに、レシーバー側の要件はGNSS衛星の進化とともに増加するので、現実的なシミュレーションは次第に複雑化し、計算量も増えます。
マルチコンスタレーション信号処理が可能な新しいレシーバーの開発にあたっては、機能と性能の検証のために、きわめて正確で汎用的なシミュレータが必要です。シミュレータは、任意のGNSSの組み合わせ(GPS、Galileo、GLONASS、BeiDouなど)の非常に現実的な信号と周波数を作成できる必要があります。このため、チャネルバジェットは、見えるすべてのSV、多数の位置決定サービス(L1 C/A、E1 OSなど)、および反射されたエコーに対応するのに十分な大きさを持つ必要があります。また、信号伝搬特性(対流圏とイオン圏の影響など)、システム特性(軌道やクロック誤差など)、ユーザー環境(シャドーイングやその他の信号劣化など)も考慮できる必要があります。
R&S®SMBV100Bは、すべての周波数バンドのGNSS信号を一度に作成できるため、マルチ周波数テストセットアップが簡素化されます。
柔軟なオプションコンセプトに基づくR&S®SMBV100Bは、さまざまなテストケースに使用できます。GNSSシミュレータは、ソフトウェアによって、レシーバーの開発および製造テスト用の単一周波数信号のサポートから、マルチコンスタレーション、マルチ周波数シナリオのサポートに、機能をアップグレードすることができます。これにより、高度なレシーバーの特性評価と性能試験が可能になります。
GPS、Galileo、GLONASS、BeiDou信号に関するさまざまなシナリオを、最大102チャネルを使用してリアルタイムで作成できます。レシーバーに関しては、シミュレートされる位置は固定にもできますが、ウェイポイントファイルをインポートして動的シナリオをセットアップすることもできます。車両の姿勢の変化もシミュレートできます。アンテナパターンは個別に変更でき、アンテナの設置場所を設定することができます。アンテナのカバーによって生じるシャドーイングを、車体マスクファイルによってモデル化できます。
図2:R&S®SMBV100BのGNSSシミュレータでは、マルチコンスタレーション、マルチ周波数シナリオを使いやすく効率的な方法で容易に設定できます。
マルチ周波数シナリオの設定
R&S®SMBV100Bは広い変調帯域幅を備えているため、L1、L2、L5など、すべての重要なGNSS周波数バンドの信号を、1つのRF出力で、外部コンバイナーなどの追加機器を必要とせずに同時に作成できます。これにより、マルチ周波数レシーバーのテストがはるかに簡単になります。
マルチ周波数レシーバーの誤差低減機能を評価するため、さまざまな電離層モデルを適用できます。GPSで用いられるKlobucharモデルやGalileoで提案されているNeQuickモデルなど、標準のモデルが利用でき、過去のモデルをロードすることもできます。
複数のGNSSコンスタレーションの使用
R&S®SMBV100Bは、さまざまなGNSSからの最大102チャネルの信号を発生することで、複雑なテスト信号によるレシーバーのテストをサポートします。これにより、複数のGNSSからのSVが存在する現実的なシナリオを簡単に設定できます。例:
システム | SV数 | 信号 | チャネル数 |
---|---|---|---|
GPS | 8 | L1 C/A、L5 | 8×2=16 |
Galileo | 8 | E1 OS、E5a、E5b | 8×3=24 |
GLONASS | 7 | L1 C/A、L2 C/A | 7×2=14 |
トータル | 23 | 54 |
衛星の最小数と最大数を指定した混合GNSS信号が必要なテストケースでは、これらの制限値をGNSSごとに設定できます。すべての衛星は、テスト中にシミュレーションを中断せずに手動でオン/オフできます。
また、シナリオを再計算せずに、個々のパワーレベルを変更したり、各衛星に擬似距離誤差を割り当てたりすることができます。これは、レシーバーのRAIM(Receiver Autonomous Integrity Monitoring)機能のテストに最適です。衛星の消失と再出現の現実的なシミュレーションを、内蔵シミュレーションモニターで観察できます(図3を参照)。
図3:GNSSコンスタレーションおよび衛星のパワーレベルを、内蔵シミュレーションモニターで観察できます。
主な利点と特長
R&S®SMBV100Bは、マルチコンスタレーションレシーバーのテストに最適なソリューションです。制御されたラボ環境内で現実的で再現可能なテスト条件を作成でき、以下のような重要な機能を備えています。