ローデ・シュワルツの電源によるバッテリー管理システムのテスト

課題

バッテリーで動作するデバイスや車両に使用される充電式電池のシミュレーション、測定、テストは重要です。過充電や過放電は、充電式電池の寿命を短縮させます。不具合はバッテリーの過熱につながることがあり、火災の原因にもなります。

大型のバッテリーは、一般的に複数のセルを直列と並列に接続して作られます。すべてのセルに同じ充放電電流が流れるため、個々のバッテリー容量の差異や自己放電などが時間とともに充電状態（SoC）のばらつきにつながり、さらにはバッテリーの容量や寿命に影響する可能性があります。バッテリー管理システム（BMS）は、さまざまなバッテリーセル・パラメータに対してアクティブにモニタリング、制御、管理を行います。BMSの機能

• 各セルのSoCを決定
• 各セルの信頼性とディレーティングを監視（劣化状態：SoH）
• 障害および例外状態を探索し、過熱や火事などの危険を防止
• セル間のSoCのバランス
• 温度／エネルギー管理

バランスは、充電プロセス中に最高充電状態のセルに選択的に負荷を加えて受動的に実現するか、またはスイッチモードレギュレータを使用して、最高充電状態のセルから最低充電状態のセルにエネルギーを移動して能動的に実現することができます。

BMSはバッテリー寿命と不具合安全性において重要な役割を果たすため、十分にテストする必要があります。テストでは、動作時に発生し得るすべての条件をシミュレートする必要があります。

ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツのR&S®NGL200およびR&S®NGM200 DC電源は、バッテリー管理システムのテストと検証に必要な機能をすべて備えた汎用デバイスです。

R&S®NGL200およびR&S®NGM200は、ソースとシンクの2象限動作をサポートしています。ソース電流が最大6 Aで、シンク電流が最大3 Aです。すべての出力は、グランドに対して完全にアイソレートされています。それらを直列接続して、グランドに対する最大電圧が250 Vまでのレベルの単一セル上のバッテリーパックをエミュレートすることができます。調整可能な出力インピーダンスを－50 mΩ～100 Ωの間に設定できます。電源出力での電流／電圧測定により、高分解能値が得られます。

すべての機能は、6 ms未満でのコマンド処理時間で完全にリモート制御することができます。さらに、R&S®NGM200 電源シリーズにはオプションのバッテリーシミュレーション・モードがあり、さまざまな定義済みのセルタイプ、またはユーザー定義のセルタイプの現実的なシミュレーションが可能です。充電状態に依存するオープン電圧と内部抵抗が、ASCIIファイルで各セルタイプについて定義されます。

これらの特長により、高い確度と高い時間分解能でセル特性がシミュレートされ、時間軸上で変動します。小型／中型のバッテリーでは、セル電流を電源から直接引き出すことができます。車載用アプリケーションに使用される大型バッテリーでは、BMSテストのために充放電電流を物理的に流す必要はありません。電流測定結果、例えば、シャント抵抗をまたぐ電圧がBMSに対してシミュレートされ、電源がセル電圧を確立し、バランス電流を供給します。

コンパクト形状でユニットあたり2チャネルのR&S®NGL202およびR&S®NGM202は、BMSのテストに向けた柔軟な構成と空間を節約するセットアップが可能です。19インチのラックマウントキットとバックプレーン接続により、ラックへの容易で堅牢な統合が可能です。

R&S®NGM-K106 バッテリーシミュレーション・オプションを超えるR&S®NGM200 電源シリーズは、電流と電圧の強化された測定確度と毎秒最大500,000値のサンプリングレートの高速ロギングを提供します。バッテリーシミュレーション・オプションは、ASCIIファイルに記憶されたプロファイルを実行でき、それらのプロファイルには充電状態に対するオープン電圧と内部抵抗が記載されています。一般的なバッテリータイプのプロファイルは電源に記憶されています。高速ロギング機能では、トラブルシューティング用途において、電流と電圧の細いスパイクやグリッチを捕捉できます。

まとめ

ローデ・シュワルツのR&S®NGL200およびR&S®NGM200 電源は、バッテリー管理システムのテストにおいて、バッテリーセルを有利にシミュレートできます。多くの場合、はるかに高価な専用のバッテリーシミュレータを置き換えることができます。