Electronic design

高速デジタルデザインのPLLの相加性位相雑音とジッタ減衰量の確認

高速デジタルデザインや無線通信でデータレートを上げるには、相加性位相雑音が低く、ジッタ減衰量の大きいSerDes PLLおよびクロックシンセサイザーが必要です。最新のデザインは、通常、2ステージアーキテクチャーに従い、ジッタ・アッテネータ・ステージと周波数シンセサイザーステージで構成されています。位相雑音感度が高いため、これらのテストには位相雑音アナライザが測定器として最適です。PLLへの信号印加には、超低位相雑音の追加信号源が必要となります。

高速デジタルデザインのSerDes PLL
高速デジタルデザインのSerDes PLL
ライトボックスを開く

課題

相加性位相雑音(残留位相雑音)は、デバイスが入力信号の位相雑音に追加する位相雑音の量を示すものです。テストセットアップには、理想に近い信号源が必要になります。すなわち、DUT出力で測定される位相雑音で相加性位相雑音が支配的になるように、信号源の位相雑音は相加性位相雑音と比較して無視できる大きさでなければなりません。最新の高速デジタルアプリケーションのPLLの場合、このテスト作業は非常に困難になり、優れた位相雑音性能を備えた信号源が必要になります。

もう1つの重要パラメータは、ジッタ伝達関数(JTF)です。これは、さまざまな周波数オフセットでのデバイスのジッタ減衰を表すものです。人為的なディスクリートジッタをDUT入力に印加して、これを入力と出力で測定し、PLLのジッタ減衰を計算します。

2段式SerDes PLLのブロック図
2段式SerDes PLLのブロック図
ライトボックスを開く
セットアップ例
セットアップ例
ライトボックスを開く

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®FSWP 位相雑音アナライザ/VCOテスタは、業界最高の位相雑音感度を備えています。さらにこれを、R&S®FSWP-B60 相互相関法オプションおよびR&S®FSWP-B61 相互相関法(低位相雑音)オプションによって向上させることができます。

R&S®FSWP-B64 残留位相雑音測定オプションを追加すれば、測定器に超低位相雑音信号源が内蔵され、相加性位相雑音測定を容易に実行できます。

あるいは、R&S®SMA100B RF/マイクロ波信号発生器のような外部信号源を使用して、テスト対象のPLLをシミュレートすることもできます。R&S®SMA100Bは最高の信号純度と位相雑音性能を実現していて、さまざまな位相雑音性能オプションにより性能拡張も可能です。

ほとんどのSerDes PLLおよびクロックシンセサイザーに対して、R&S®FSWP-B64およびR&S®SMA100Bの位相雑音は、DUTの相加性位相雑音と比較して無視できる程度の大きさです。R&S®FSWPによって測定された位相雑音は、主にDUTの相加性位相雑音を表しています。

R&S®FSWP-B64が採用している相加性位相雑音手法では、入力信号の位相雑音の影響をさらに大幅に縮小できます。他社製のソリューションとは異なり、手動で外部移相器との直交性を実現する必要はありません。R&S®FSWPは自動的にこれを行い、使いやすい位相雑音測定の新しい基準を打ち立てています。

R&S®SMA100Bは、PLLのジッタ伝達関数の測定にも使用できます。PM変調(R&S®SMAB-K720 オプション)を介して、人為的なジッタが信号源に追加されます。

R&S®FSWPはDUT出力で実際のジッタを測定して、DUT入力でのジッタに対してそれをノーマライズし、ジッタ減衰を特定します。このアプリケーションカードのダウンロードセクションに外部ツールがあります。R&S®SMA100B(R&S®SMAB-K720オプションが必要)とは別に、R&S®FSWP(R&S®FSWP-B60またはR&S®FSWP-B61オプションが必要)とR&S®FSPNをサポートします。ツールは、さまざまな周波数オフセットでジッタ減衰を測定し、ピークや3 dB帯域幅を含む、DUTのジッタ伝達関数を提供します(下のスクリーンショットを参照)。

ジッタ伝達関数測定セットアップ
ジッタ伝達関数測定セットアップ
ライトボックスを開く

まとめ

R&S®FSWPは、高速デジタルデザインでPLLの相加性位相雑音をテストするのに必要な機能を備えています。R&S®SMA100Bを超低位相雑音信号源として外部で使用すれば、PLLのジッタ伝達関数(JTF)を測定できます。

ジッタ伝達関数の自動測定
ジッタ伝達関数の自動測定
ジッタ伝達関数の自動測定
ジッタ伝達関数の自動測定
関連ソリューション