セットトップボックスとテレビのA/V品質テスト

R&S®VTC/VTEビデオテスタでは、セットトップボックスやテレビの品質を、DUTのA/Vインタフェース上でユーザーの視点から解析/評価できます。また、合否判定テストから長期安定度テストまで、必要な品質テストを提供します。R&S®VTC/VTEは、DUTに必要なRF入力信号を作成します。

A/V quality testing of a set-top box
A/V quality testing of a set-top box
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要件

テレビ受信機の市場で成功するためには、最新の技術規格の導入、継続的な機能拡張と新しい機能の開発、常に最高の音声/ビデオ(A/V)品質を実現することが不可欠です。新製品の開発時やファームウェアの更新時には、セットトップボックスやテレビに内蔵されているRFチューナーのA/V品質テストが必要です。製造工程で頻繁に実行される合否判定テストの他に、長期安定度テスト、温度テスト、規格コンプライアンステスト、A/V遅延テストが必要です。使用されている場所にもよりますが、セットトップボックスとテレビは、RF信号、トランスポートストリーム(TS)、ビデオフォーマットのさまざまな組み合わせを受信し、これらをテストする必要があります。これは、目視検査とBER測定によって行われます。

目視検査は、A/V品質を常に集中して評価する検査員が行います。ただし、この方法では、テストの再現性に確信を持てず(特に長期テストでは、コストと不確かさが増大します)、目で見てわかるエラーしか検出されません。

多くの場合は、目視検査ではなく、ビットエラー比(BER)測定が行われます。この測定は自動化でき、あらゆるタイプのエラーを検出できます。ただし、BER測定では、レシーバー内の目的のテストポイントにアクセスできなければなりません。このテストポイントより後段にあるハードウェアおよびソフトウェアのエラーは検出されません。この測定からは、ユーザーが検知できるエラーかどうかはわかりません。

電子計測ソリューション

R&S®VTC/VTEビデオテスタは、両方のテスト方法の利点を併せ持つように設計されました。ユーザーの観点からすると、このテスタのテストは再現性があり、自動化が可能です。測定は、レシーバーのA/Vインタフェース(アナログ、HDMI™)で直接実行されます。目で見てわからないエラー(フレーム損失など)も検出されます。R&S®VTC/VTEビデオテスタは、DUTに信号を印加するために、関連するTV規格に準拠した高品質で高精度のRFテスト信号を作成します。

A/V品質測定(A/V歪み解析)は、被試験A/V信号と以前に記録した基準信号との差分解析に基づいたものです。基準信号は、20 sなどの短いA/Vシーケンスで、自動テストを実現するために何度も繰り返すことができます。差分解析に使用する基準信号は、テスト対象の信号と同じビデオ処理チェーンと同じA/Vコンテンツから抽出する必要があります。このため、R&S®VTC/ VTEビデオテスタは、絶対的なA/V品質ではなく、記録されている基準からの偏差を測定します。このため、エンコーダーの性能などではなく、DUTの性能がテストされます。差分解析はまた、さまざまなTSフォーマット、ビデオフォーマット、RFパラメータのA/V出力品質への影響を調べるのにも用いることができます。R&S®VTC/ VTEのRFモジュールでは、さまざまなTV規格、レベル、C/N値を使用して簡単なRFテストを行うことができます。フェージングや隣接チャネル占有が必要な、A/V品質を測定するための拡張RFテストは、例えば、R&S®BTCブロードキャスト・テスト・センターによって実行されます。R&S®BTCには、ビデオインタフェースをモジュールベースで搭載することも可能です。

A/V解析に品質パラメータ(ピークS/N比(PSNR)、構造的類似性(SSIM)、平均オピニオンスコア(MOS))を用いれば、正確にビデオ品質を評価し、基準信号からの偏差を検出することができます。エラーは、画像フリーズ、ブラックフレーム、ドロップフレーム、可視エラーなどのカテゴリーに割り当てられます。可視エラー設定を使用すれば、目で見てわかるエラーとして解釈されるエラーを定義できます。ビデオエラーに加えて、オーディオのドロップアウトも検出されます。

R&S®VTC/VTEは、タッチスクリーンで操作できます。A/V品質パラメータの測定やロギングは、ボタンをタッチして開始/停止します。たった1台の測定器で、再現性の高いクオリティー・オブ・サービス(QoS)測定を非常に簡単かつ客観的に行うことができます。

R&S®VTC/VTEビデオテスタは、HDMIコンプライアンステスト仕様(CTS)に準拠したHDMIプロトコル解析/テストをサポートしています。

アプリケーション

製造工程における合否判定テストでは、被試験デバイスと同じシリーズのゴールデンデバイスを使用して、基準信号が1回だけ記録されます。長期安定度テスト、温度テスト、規格コンプライアンステスト、A/V遅延テストでは、テストを開始する前に、基準信号をDUTで作成することができます。

品質保証

R&S®VTC/VTEは、テレビに内蔵されているRFチューナーの長期安定度の自動テストに使用できます(前提条件:SCARTインタフェースを使用できる)。テレビには、R&S®VTC/VTEによって作成されたRF信号が印加されます。テレビが受信して処理した信号をSCART-RGBアダプターを使って捕捉して、R&S®VTC/VTEのアナログモジュールに送ることができます。アナログインタフェースに存在する雑音の影響や解像度の低下(HDビデオのダウンスケール)により、A/V品質値は小さくなります1) 。差分解析は、A/V品質の絶対値ではなく、画像フリーズなどの明白な信号干渉の発生回数なので、その値が小さくても実行できます。このため、信頼性の高い長期安定度テストを自動で実行できます。

製造テスト

R&S®VTC/VTEビデオテスタは、セットトップボックスの受信部、信号処理、HDMIインタフェースが適切に機能することを検証するのに使用できます。R&S®VTC/VTEビデオテスタは、TSフォーマット、ビデオフォーマット、RFパラメータのさまざまな組み合わせを連続的に作成して、セットトップボックスに送ります。R&S®VTC/VTEに内蔵されているA/V品質解析機能は、テスト信号が基準信号に対応しているかどうかをチェックします。

1) HDMIインタフェースと比較。

HDMIおよびHDMI High-Definition Multimedia Interface、HDMIロゴは、HDMI Licensing LLCの商標または登録商標です。