製造および特性評価におけるスループットの向上

課題

RFフロントエンドやパワーアンプを製造／特性評価テストする部門のテストエンジニアや管理者は、製品品質の検証とテストコストの最小化を同時に実現するために、適切で高速な測定を確保する必要があります。性能制限とファンクションテストの範囲は、一般的に開発チームとテストエンジニアチームによって定義されますが、できるだけ短時間で効率的に作業を完了することが求められます。テストの速度と並列化は、最適なソリューションを実現するための重要な要素であり、特性評価においては適切な期間での市場投入を、製造においては柔軟でスケーラブルなソリューションを確保するための手段です。

ローデ・シュワルツの製造指向のソリューション

ローデ・シュワルツは、業界をリードする変調ソリューションに定評があり、開発工程や困難な特性評価作業向けに、広い周波数レンジおよび変調帯域幅全体をカバーする優れたエラーベクトル振幅（EVM）テスト機能を提供しています。

製造では、開発テストと特性評価テストの相関が主な作業になります。バリューチェーン全体を通じて求められる相関性を確保するためには、関連性のあるアプローチを使用しますが、それだけでなく、より高速で、よりコンパクト、そしてコストパフォーマンスの高いアプローチを用いるのが理想的です。

ローデ・シュワルツが提供する製造指向のR&S®PVT360A 高性能ベクトルテスタは、こうしたニーズを満たします。このテスタは、リファレンスステーションのセットアップから得られるベクトル信号の発生機能と解析機能を統合して、完全に同期したアプローチを実現します。まさに、当社の専門知識に裏打ちされた製造指向ソリューションです。必要なRF性能を確保しながら最高テスト速度に重点を置き、かつ優れた特性評価も可能なソリューションを構築できます。

多くの場合、包括的なソリューションには複数の測定器が含まれます。ローデ・シュワルツでは、お客様のニーズに合わせたテストプランを、テストフローの最適化とテスト結果の提示を行うためのテストスクリプトに変換する実装サービスを提供しています。これには、複数の機器と、テストデバイスの制御を含めることができます。

アプリケーション

複数の最適化によるテスト速度の向上 ハードウェアの最適化とテストプロセスの合理化は、統合できる2つの主要な要素です。高速なハードウェアプラットフォームに加えて、R&S®PVT360Aは、統合されたハードウェアアクセラレーテッド・シーケンス測定をサポートしています。これにより、内部の信号発生および解析を制御することができます。プログラムして開始すると、プロセスを遅らせるような外部とのやりとりなしで内部測定からテスト結果を出力します。信号発生部と解析部のために個別のコマンドリストを提供して最大限の柔軟性を実現しているだけでなく、双方の間のプロセスフローを内部で同期させて、レベルや周波数などのパラメータすべてにわたる測定を最短時間で実行します。

並列化は、テストスループットをさらに向上させるためのもう1つの手法です。ある一面では、機器は、次のRF測定を内部的に実行しながら、前の測定データを処理します。測定の捕捉とデータの評価が、その間にある柔軟なバッファーを用いてパラレルに実行されます。別の一面では、R&S®PVT360Aは内部的に2つのトランシーバーをサポートすることができます。そのため、独立した信号発生器とシグナル・アナライザのペアで2つのデバイスを同時にテストすることができます。

製造のセットアップでは、テストデバイスをテストフィクスチャ内に設置するため、インデックスタイム（デバイスをテストステーションのロードボードに取り付けるための作業時間）が製造テスト時間に大きく寄与する場合があります。テストフィクスチャは多くの場合、複数のデバイスをサポートしていて、デバイスはファンクションテストや性能テストの前に1回のプロセスステップでロードされます。フィクスチャをテスト機器に接続するために、スイッチマトリクスを使用してフィクスチャのポートを機器のテストポートにマッピングすることができます。R&S®PVT360Aは、完全に統合された半導体スイッチマトリクスを含む16個のRFポートをすでに備えています。これにより、異なるポート、すなわち異なるテストデバイス間で高速な摩耗のないスイッチングが可能になります。

事前にテストデバイスを調整する際には1つの出力を1つ以上のポートに同時にルーティングすることができますが、解析部分は1度に1つのポートのデータを取得します。2つのトランシーバーを組み込んだ場合には、両方のアナライザがパラレルに動作して2つの異なるデバイスからの信号を同時に記録します。

統合型スイッチマトリクスのプログラミングと制御を簡素化するために、スマートチャネル・オプションは8台もの仮想測定器を提供します。ポート間のすべての制御、スケジューリング、スイッチングが自動的に行われ、リソースの使用率と速度を最大化します。

まとめ

ローデ・シュワルツのR&S®PVT360Aは、開発リファレンスステーションに関する高度な専門知識に裏打ちされた製品であり、スループットの最大化に重点を置いた製造指向のソリューションです。

取得されたEVMバスタブ曲線

内部ハードウェアアクセラレーテッドシーケンス測定による高速な信号発生と信号解析のやりとり

内部ハードウェアアクセラレーテッドシーケンス測定により、最大のテスト速度を実現できます。
規格準拠の5G NR測定を毎秒50回以上実行することで、完全なバスタブ曲線を高速に記録して、50個以上のレベルポイントでデバイスのEVM性能を表示することができます。