アンプ測定の高速化

課題

製造工程およびデザイン検証でアンプやパワーアンプ（PA）の特性評価を行うには、スループットを最大限に高めるために、高度に最適化された測定ルーチンが必要です。アンプ測定を行う前に、アンプの出力パワーを調整して目標レベルにする必要があります。このパワーレベル調整は、パワーサーボ制御またはパワーサーボ制御ループと呼ばれます。隣接チャネル漏洩電力（ACLR）測定や高調波測定など、その後続けて行われる測定はすべて、目標の出力パワーで送信を行う被試験デバイス（DUT）に対して行われます。

ここで問題となるのは、パワーレベリングと他のアンプ測定をどのように組み合わせれば、テスト時間全体を最短に抑えられるかということです。何度も繰り返されるパワーレベリングが、テスト時間短縮の鍵となります。

電子計測ソリューション

ローデ・シュワルツは、R&S^®FPS シグナル・スペクトラム・アナライザおよびR&S^®SGT100A SGMAベクトル信号発生器に基づいた、コンパクトで高速なアンプ特性評価ソリューション、 R&S^®FPS-K18を提供しています。このアンプ測定オプションは、エンベロープトラッキング方式のPAなどのアンプ特性評価に必要なツール（デジタルプリディストーション（DPD）やDUTモデリングなど）をすべて提供します。さらに、パワーレベリング、ACLR、高調波などのアンプ測定のために、速度に最適化したルーチンも備えています。

1回クリックするだけでパワー・レベリング・アルゴリズムが起動し、アンプの目標パワーに自動的に収束します。パワーレベリングは個別の測定ですが、R&S^®FPS-K18ツールセットとの統合性が高いため、 同一測定構成内でACLRなどの他のアンプ測定と併用でき、その結果、セットアップ時間が大幅に短縮されます。

R&S^®FPSとR&S^®SGT100Aの2つの独自の機能であるハードウェア・トリガ・ハンドシェークと、パワーレベリング（パワーサーボ）用ダイレクト高速LANインタフェースにより、テスト時間をさらに短縮します。

テスト時間を短縮するトリガハンドシェーク

トリガとは、一定の再現性で測定時間を短縮するためによく使用される機能です。ただし、アナライザがトリガ信号を待つ必要があるため、遅延時間が発生します。トリガハンドシェークは、測定の準備が整ったときにアナライザが直接信号を送るため、遅延時間が最短になります。その代わりに信号発生器が波形をすぐに再開し、その結果、トリガイベントが発生します。このように測定器間で同期がとられるため、遅延時間はわずか数μsに短縮されます。

高速LANインタフェース

パワーレベリングを正確に行うには、測定器間で高速通信を行う必要があります。R&S®FPSとR&S®SGT100Aの間では、ダイレクト高速LANインタフェースによって高速通信が実現されています。デジタル減衰（信号のデジタルスケーリング）と下位レベルの通信リンクとの併用により、信号発生器の出力パワーを通常130 μs未満で制御することができます。

最高40 GHzの周波数レンジにより、R&S^®FPSは高調波測定に最適です。他のソリューションとは異なり、R&S^®FPSは40 GHzでもイメージ抑圧を使用して測定を行うことができます。高速モードの場合、40 GHzで周波数セトリングにかかる時間は約3.1 msであり、7 GHz未満の周波数ではわずか2.5 msです。

R&S^®FPSにR&S^®FPS-K18オプションとR&S^®SGT100Aを併用した場合は、通常、パワー・サーボ・ループとACLR測定は2.7 ms未満で完了します。追加の高調波測定（2次高調波と3次高調波、基本波は3.8 GHz、高調波はそれぞれ7.6 GHzと11.4 GHz）は、約11 ms未満で測定することができます。

R&S^®FPSとR&S^®SGT100AにR&S^®FPS-K18 アンプ測定オプションを併用することにより、高確度と高速性を兼ね備えた汎用性の高いテストソリューションを実現することができます。高確度と高速性はともに、アンプの製造工程とデザイン検証でテストコストを削減する重要なパラメータです。