受信機テスト用のOneWebコンプライアント信号の作成

はじめに

最新の高速マイクロ波衛星リンクには、複数ユーザーの処理と高い信号品質の実現を同時に行える柔軟性と堅牢性が必要です。OneWebは、フォワードリンクにシングルキャリア時分割多重化（SC-TDM）方式を使用しています。短い時間範囲が連続的に全帯域幅の異なるユーザーに割り当てられるので、時間変化に伴って多くのユーザーがリンクリソースを共有できます。リバースリンクでは、地上局およびゲートウェイ経由の広帯域地上波ネットワークへのユーザーリクエストを処理しなければなりません。リバースリンクでは、LTE規格に基づく周波数分割多元接続（SC-FDMA）方式のシングルキャリア信号を使用します。周波数スロットは、タイムインターバル（サブフレーム）ごとにユーザー間で共有されます。

リンクコンスタレーション

フォワードリンクは、最大2.5 GHzの全帯域幅に相当する最大8チャネルから構成することができます。各チャネルは、最大250 MHz帯域幅のシングルキャリア信号で占有されます。リバースリンクの全帯域幅は最大1.5 GHzです。このリンクは、チャネル当たりシングルキャリア信号6つで構成されています。各キャリアの帯域幅は20 MHzなので、合計120 MHzチャネル帯域幅になります（下図参照）。

課題

エンジニアは、マイクロ波周波数レンジでOneWebコンプライアント信号を構成／作成できる、柔軟で高速、シンプルなソリューションを求めています。通常、エンジニアは受信機、およびコンバーターやパワーアンプ、RFフロントエンドなどのRF機器を地上局、ユーザー端末、衛星ペイロードでテストする必要があります。

電子計測ソリューション

ローデ・シュワルツは、R&S^®SMW200A ベクトル信号発生器を使用したOneWebコンプライアント信号を作成するための2種類のオプションを提供しています。

• R&S^®SMW-K355 OneWeb基準信号オプションでは、定義済み基準波形（すべてのパラメータ含む）を選択して使用できます。これは、適正な変調方式および信号形状で物理層テストのみを実行する必要がある場合（パワーアンプのコンポーネントテストなど）に最適なソリューションです。
• R&S^®SMW-K130 OneWebユーザー定義信号発生器オプションでは、フォワードリンク信号およびリバースリンク信号を自由に構成できます。このオプションで、ユーザーはフォワードリンクのシングルキャリアシナリオを定義できます。マルチキャリアシナリオは、ARBのマルチキャリア機能を使用して構成できます。リバースリンク向けには、このオプションに含まれているキャリアアグリゲーション機能を使用して、シングルキャリアシナリオまたはマルチキャリアシナリオを設定できます。ユーザーはフォワードおよびリバースリンクの、サブフレーム数、リソースブロック構成、ユーザー数、セルID、変調方式などのすべての設定パラメータにアクセスできます。パラメータは、サマリーテーブルに表示されます。

フォワードリンク

R&S^®SMW-K130 オプションでは、フレーム、サブフレーム、リソースブロックによって形成されるシングルキャリア信号を作成できます。リソースブロックの数により、ユーザーがリンクにアクティブにアクセスできるタイムインターバルが決まります。RBで決まったタイムインターバルの間、1人のユーザーに全帯域幅が割り当てられます。タイムプランにより、スケジュールされたリソースブロック全体の概要をグラフィカルに確認できます。

リバースリンク

すべての逆方向キャリア信号は、タイムドメインのフレーム／サブフレーム、周波数ドメインのリソースブロックによって形成されます。ユーザーはRBを自由に構成して、地上局のRF機器および受信機のテスト用のさまざまなテストケースを定義できます。

設定したリソースブロックの割り当ては、信号のスペクトラムに変換されます。ユーザーごとの占有スペクトラムは、割り当てられたRB数に応じて幅が変化します。

まとめ

R&S^®SMW-K130 オプションとR&S^®SMW-K355 オプションを追加すれば、R&S^®SMW200Aはフォワードリンク／リバースリンクで使用できるOneWebコンプライアント信号を作成するための最適なソリューションになります。この構成により、最終的な受信機テスト向けの柔軟で高速な信号作成と、リンクコンスタレーションの概要の直感的な把握が可能になり、すべての関連リンクパラメータにアクセスできます。