5GデバイスのIPデータスループットの最大化

R&S®CMX500 無線機テスタは、モバイルデバイスのトランスミッターとレシーバーの最大IPスループットのテストに最適です。

R&S®CMX500 5G無線機テスタ: データスループットのテスト用のFR1/FR2テストセットアップ。
R&S®CMX500 5G無線機テスタ: データスループットのテスト用のFR1/FR2テストセットアップ。

課題

高度モバイルブロードバンド(eMBB)は、5G New Radioの3本の柱の1つです。スマートフォンのユーザーや各種業界の絶え間ない高速化および容量要件の拡大を考慮して、3GPPは、24 GHz以上のミリ波レンジ(FR2)における5G向けのスペクトラムを定義しました。しかし、これにより、テストに関する重大な問題が発生します。新しいニューメロロジーや新たに利用できるようになった無線リソースによって帯域幅が広がり、広範なキャリアアグリゲーション・シナリオが使用されるようになるため、これまで以上に複雑なダウンリンク/アップリンクのテストシナリオが必要になります。

エンドユーザーの期待に応えるには、RF層のスループットに重点を置くだけでなく、IP層も解析する必要があります。IP層は、エンドユーザーの体感品質(QoE)を左右します。複数のレイヤーのスループットをテストしてボトルネックを特定することは極めて重要ですが、再現性の高いテスト結果が得られる高度な電子計測機器に依存します。使いやすいモニタリング/チューニングツールを利用すれば、さまざまなレイヤーやプロトコル(TCPやUDP)を使用する各種アプリケーションに応じてトラフィックチャネルを簡単に最適化できます。

R&S®CMX500 スループットウィザードは、5Gデバイスのテストセットアップを簡素化します。
R&S®CMX500 スループットウィザードは、5Gデバイスのテストセットアップを簡素化します。
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ローデ・シュワルツのソリューション

20 Gbps以上のデータに対応するように設計され、幅広いツールチェーンを搭載したR&S®CMX500 無線機テスタは、高度なハードウェアアーキテクチャーを採用し、LTE/5Gテスト用の独自の環境を構築します。完全統合型のソフトウェアツールチェーンにより、RF層だけでなく、IP層やアプリケーション層のアップリンク/ダウンリンクのスループットテストも簡単に行えます。

また、MACスループットモニターの統合により、FR1とFR2の周波数の下位レイヤーのスループットの解析も容易です。内蔵のiPerfツールと高度なローデ・シュワルツ・スループット・アプリ2を使用すれば、TCP/UDPトラフィックのスループット値をすばやく確認できます。各種スループットグラフでは、複数のレイヤーの値を可視化して、スループットのボトルネックや統合の問題を特定して切り分けることができます。

スループットウィザードによるテストセットアップの簡素化

IPスループットテストには、測定とチューニングの2つのサービスが含まれます。内蔵の最大スループットウィザードは、使いやすいグラフィカル・ユーザーインタフェースで、テストセットアップを簡素化します。ユーザーは、基本的なテストセットアップ・データとセル構成を入力するだけです。ウィザードは、最大データレートを実現するための定義済みテストシナリオを作成し、R&S®CMX500のワークスペースを準備します。ユーザーは、マルチレイヤー・スループット・グラフで、直接測定を開始し、測定データをリアルタイムでモニターすることができます。測定結果を使用して、個々のレイヤーのインタフェース容量または構成設定に起因する潜在的なボトルネックを解析することができます。

スループット性能の自動改善

2番目のステップでは、独自のサービスIPチューナーとローデ・シュワルツ・スループット・アプリ2を使用して、ネットワーク側のIPパラメータとスタックパラメータを設定することにより、スループット性能を自動的に改善します。このツールは、シンボル内の最も有用なビットを送信するための最高のMCS値を検索します。また、重要なIPチャネルパラメータにもフォーカスします。得られた値により、アップリンクとダウンリンクの両方のスループットを最適化できます。また、ユーザー機器のスケジューリング設定に自動的に適用して、その他の測定に使用することがきます。最大スループットウィザードおよびIPチューニングアプリケーションは、スループットの問題を特定するのに最適です。

R&S®CMsequencerによるテストの自動化

テストシナリオで複数のバンドやキャリアアグリゲーションが使用される場合は、スループットテストは複雑になります。R&S®CMsequencerは、最大スループットテストを自動化し、広範なE2E IPレベルテストを提供します。Shuffler機能を用いれば、DUTから報告されたバンドやバンドの組み合わせを対象とした自動反復処理を迅速かつ容易に行えます。これにより、使用可能なすべての組み合わせのIPスループット性能をテストするために必要なユーザーの時間と労力を大幅に削減できます。

リモート制御

製造と開発の両方で、スクリプト作成の重要性が高まっています。R&S®CMX500には、SCPIと、新しいXLAPI Pythonベースのインタフェースの2つのインタフェースがあり、R&S®CMX500のソフトウェアランドスケープへの統合時間を短縮し、R&S®CMX500およびほとんどの機能をリモート制御できます。

まとめ

デバイスメーカーやネットワークプロバイダーにとって、IPスループットテストやスループットの最適化は、かつてないほど容易でコストパフォーマンスが高くなっています。R&S®CMX500 プラットフォーム、スループットウィザード、IPチューニングアプリケーションの組み合わせは、5Gデバイスのスループット信号特性を評価/チューニングするのに必要なツールをすべて提供します。