MXOオシロスコープによる電動ドライブトレインの最適化

自動車業界は、電動化に伴う変革のさなかにあります。電動ドライブトレインの正確な測定と解析は、性能、効率、信頼性の向上に重要な役割を果たします。MXOオシロスコープは、このような測定に不可欠のテストツールとなっています。電圧/電流波形に関してリアルタイムに洞察が得られるため、エンジニアや作業者は、複雑なメカニズムを調査して、ドライブトレインの性能と効率を改善できます。

ドライブトレイン解析に使用されるプローブインタフェースと電流プローブを備えたMXO
ドライブトレイン解析に使用される高電圧差動プローブ/電流プローブ用のプローブインタフェースを備えたMXOオシロスコープ
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課題

ドライブトレインの性能評価は多面的な作業であり、シームレスな統合と最適な機能の実現を可能にします。ドライブトレインの重要なポイントでの電圧/電流波形を解析することで、さまざまなステージでの電力変換、効率、力率を調べ、改善可能な部分を見つけることができます。モーターの制御アルゴリズムを検証して、制御入力に一致する正確で応答性の高いモーター動作を確認する必要があります。トランジェント解析を行うことで、負荷条件や電源条件の突然の変化に対するドライブトレインの応答を知ることができます。高調波システム歪みを特定して軽減することで、パワー品質とドライブトレイン全体の信頼性を高めることができます。包括的アプローチを取ることで、ドライブトレインの動作を詳細に把握し、ドライブトレインの性能を最適化できます。

ローデ・シュワルツのソリューション

このようなさまざまな測定要件に対応して正確な結果を得るには、何種類かの機器が必要です。パワーアナライザ、低周波ベクトル・アナライザ、バスデコーダーは、どれも正確な測定に役立ちます。オシロスコープも、時間と振幅の関係を可視化するという独自の役割を果たします。オシロスコープはまた、FFT、演算機能、高調波解析、デジタル通信プロトコルデコード、周波数応答解析などのさまざまなツールも備えています。

次世代オシロスコープであるMXOシリーズは、基本的な時間解析、業界最高速の波形収集、18ビットのHD分解能、超高速FFTスペクトラム機能、きわめて長いレコード長といった特長を備え、電動ドライブトレインの最適化に最適です。MXO 5シリーズは、初めての3相解析用8チャネルオシロスコープであり、電圧と電流を同時に測定できます。

利点

  • 450万波形/秒:最大99 %という最高の捕捉率
  • 18ビットのHDモード:業界最高の精度と確度
  • 1チャネルあたり400 Mポイント/500 Mポイント:高いサンプリングレートを長時間維持
  • 45 000 FFT/s:応答性の高いスペクトラムによるEMI解析
  • デジタルトリガ:0.0001 divという業界最高のトリガ感度
MXOのトラッキング機能を使えばPWMをトレースに可視化して解析可能
MXOのトラッキング機能を使えばPWMをトレースに可視化して解析可能
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インバータードライブ制御にはより多くのチャネルが必要

バッテリーのDC電力から電気モーターのAC駆動電力への変換は、ドライブトレインの主要な要素の1つです。効率を高めるため、適切なタイミングで動作するインバーターゲート(トーテムポール)が、パルス幅変調(PWM)によってDCパルスをさまざまな幅でスイッチングし、フィルターを通してAC波形に変換することでモーターを駆動します。3相電気モーターにはインバーターゲートが3組必要で、そのスイッチングロジックとタイミングが駆動性能に影響します。各インバーターゲートで電圧と電流が測定されます。トルクとモーター駆動速度を測定するセンサから重要な情報が得られます。MXO 5シリーズはチャネル数が多いため、インバーター駆動制御の包括的な測定に効果を発揮します。

インバーターはDC電力をスイッチングして3相AC電力に変換
インバーターはDC電力をスイッチングして3相AC電力に変換
スイッチングゲートの問題
MXOのデジタルトリガは、このシナリオの解析に役立ち、デザインでハイ側とロー側のゲートのスイッチングの間に十分なデッドタイムがあるかどうかを確認できます。
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スイッチングゲートの問題

効率を高め、ドライブトレインの応答を高速化するため、絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ(IGBT)から、シリコンカーバイド(SiC)などのワイドバンドギャップテクノロジーを使用した、高速スイッチングが可能なトランジスタへの移行が進んでいます。さらに重要なこととして、伝導効率を高めるため、トランジスタの動的オン抵抗が小さくなりつつあります。

立ち上がり/立ち下がりエッジが高速化すると、EMIノイズがシステムに導入されるため、設計上の課題が生じます。寄生信号のためにリンギングが大きくなり、ハイ側とロー側の両方のゲートがオンになったときに、シュートスルーイベントによる障害が生じることがあります。トランジスタとインバーター回路に対する追加のタイミング解析が必要です。

MXOシリーズのデジタルトリガは、トランジスタゲートのグリッチの検出に非常に有用です。18ビットのHD分解能により、高精度のトリガ可能波形と高いトリガ感度が得られ、デザインのデバッグに役立ちます。高速FFTによりEMIエミッションの検出が容易になり、回路フィルターのデザインを改善できます。

T1トランジスタゲートにグリッチがあると、T2がオンになったときにシュートスルーイベントが生じます。
T1トランジスタゲートにグリッチがあると、T2がオンになったときにシュートスルーイベントが生じます。

まとめ

電動ドライブトレインの改善には、高レベルの3相高調波の改善から、ゲートドライバーのスイッチング解析まで、さまざまなテスト方法が必要です。高精度の仕様測定向けに設計されたパワーアナライザと異なり、オシロスコープではタイミング表示が利用できるので、時間変動する動作を理解して、さまざまなタイミング制御を実現するために役立ちます。また、オシロスコープは、電力効率測定、EMIデバッグ、高調波解析、バスデコードなど、タイムドメインと周波数ドメインのさまざまなテスト機能を搭載し、高い汎用性を発揮します。

MXOシリーズ オシロスコープは、標準で長いレコード長を備えているので、一般的に応答が低速な電動ドライブトレインの解析に最適です。デジタルトリガ、HD精度、測定トラッキング、高速スペクトラム解析、8チャネル機能により、電動ドライブトレインの性能を評価する際の測定の可能性を大きく拡げることができます。