R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアによるパルス信号モデリングの簡素化

R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアとローデ・シュワルツのベクトル信号発生器を組み合わせることで、パルスの定義と再生に最適なソリューションを実現できます。

課題

レーダーレシーバーおよびコンポーネント性能のテストと検証は、開発サイクルのあらゆる段階に携わるエンジニアにとって、最も重要な作業の1つです。DUTの機能を確認するためには、さまざまな種類のパルスシナリオが必要です。パルスシナリオの範囲は、整った形状のエッジを持つシンプルなパルスから、オーバーシュート、リップル、ドループなどの信号劣化を伴うパルス、さらにはI/Qパルス変調(MOP)を伴うパルスやオン/オフ比の大きいパルスにまでおよびます。

このようなさまざまなパルスシナリオの構築とモデリングは、基本的なパルスの場合でも手間のかかる作業なので、レーダーエンジニアの貴重な時間が無駄になります。

Pulse Sequencer
R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアによるパルスのモデリングの例:非方形パルスエンベロープと立ち上がり/立ち下がりエッジを持つ非変調パルス(左)、非方形パルスエンベロープ、オーバーシュート、ドループ、リップルを伴う非変調パルス(中央)、I/Q変調パルス(MOP)(右)

電子計測ソリューション

R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアと、ローデ・シュワルツのベクトル信号発生器(R&S®SMW200A、R&S®SMBV100A、またはR&S®SGT100A)を組み合わせることにより、強力なレーダー信号発生ソリューションが構築できます。このソリューションは、市販されているR&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアと、ローデ・シュワルツの既成のベクトル信号発生器(K300パルス・シーケンス・オプションまたはK301拡張パルス・シーケンス・オプションを装備)に基づいています。このソフトウェアでは、ユーザー定義可能なパルス形状を使用して、変調または非変調パルスを短時間で簡単に定義できます。ソフトウェアはグラフィカル・ユーザー・インタフェースと信号のビジュアリゼーションを備え、テンプレートを使用してドロップダウンメニューや入力フィールドでパルスを定義できるので、短時間で容易に使いこなすことができます。

このソリューションは業界の協力により開発されているため、レーダーレシーバーのテストに必要なすべてのパルスシナリオをサポートしています。これにより、デザインサイクルを短縮し、市場投入を早め、意味のある結果をすぐに得られます。

パルス変調(MOP)としては、リニア周波数変調、Barkerコーディング、多相コード、位相シフトキーイング(PSK)といった一般的な変調方式に加えて、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(φM)などの一般的なアナログ変調方式も、パルスと組み合わせて簡単に使用できます。さらに、ソフトウェアのオープン・プラグイン・インタフェースを通じて、ユーザー固有の変調方式も追加できます。

作成されたBarkerコードパルス
作成されたBarkerコードパルス:位相遷移で典型的な振幅低下を示すエンベロープ(上)と、対応する位相(下)
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この他、パルスエンベロープのオーバーシュート、リップル、ドループといった信号劣化をパルスに加えることもできます。この機能により、実環境シナリオの寄生効果をシミュレートして、現実的なパルスエンベロープでレシーバーをテストすることができます。

発生したパルス
発生したパルスにR&S®SMW200Aを使用してドループ、リップル、オーバーシュートを同時に付加。
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レーダーレシーバーは、遠方の物体からの、ノイズレベルに近いパワーレベルのエコーパルス(低いS/N比)と、近くの物体からの、大きい振幅のエコーパルス(高いS/N比)の両方を検出する必要があります。このような大きいダイナミックレンジをシミュレートするには、オン/オフ比が大きいパルスが必要です。これまで、このような用途には、パルスのI/Q変調が不要であれば、アナログ信号源が用いられていました。

発生したパルス
R&S®SMW200A ベクトル信号発生器とパルス変調器の組み合わせによって発生された、オン/オフ比80 dBのパルス
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R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアでは、大きいオン/オフ比を持つあらゆる種類のI/Q変調または非変調パルスを定義できます。R&S®SMW200Aの高品質のパルス変調器と、デジタル・ベースバンドで発生された信号を組み合わせることで、オン/オフ比が80 dBのパルスを発生できます。

テストケースには、パルスのグループが必要な場合があります。R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアには、強力なシーケンス・メカニズムがあり、定義したすべてのパルスから、繰り返し、ループ、ネストしたループを使用して、シーケンスを作成できます。

R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアは、変調パルスを含む任意のパルス形状のモデル化に最適なソリューションであり、あらゆる種類のレーダーレシーバーまたはコンポーネントのテストに利用できます。

特長

❙ 定義済みのテンプレートを使用して、あらゆる種類のパルスを短時間で簡単にモデル化

❙ さまざまなパルス形状と定義済みの変調方式が使用可能

❙ 実環境の効果をシミュレートするためにパルス形状に信号劣化を付加

❙ I/Q変調されたパルスに対しても、オン/オフ比が80 dBのパルスを発生

❙ ユーザー定義のシーケンスでパルスを結合

❙ R&S®SMW200Aなど、ローデ・シュワルツのすべてのベクトル信号発生器と組み合わせて使用可能