オシロスコープの基本操作

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オシロスコープの基本操作

オシロスコープの正しい操作と実測データの検証には、オシロスコープとその4つのシステムの基礎的理解が不可欠です。ここでは、オシロスコープを使用して基本的な電圧対時間の測定を行うために必要な設定の概要について説明します。

オシロスコープとは?その基本的な使い方とは?

オシロスコープは、電圧対時間の測定および表示を第一目的としています。他にも、電気的/電子的設計や、あらゆる電気装置のテストおよびデバッグなどの用途に幅広く使用されます。

オシロスコープは、周期波形または繰り返し波形の電圧対時間を表示します。最新のデジタルストレージオシロスコープは、非周期波形を容易に表示および保持することもできます。ほとんどの最新式オシロスコープは、基本機能である電圧対時間の表示のほかに、多くの追加機能を備えています。例えば、以下のような機能があります。

  • ピークツーピーク電圧(Vpp)または周波数の自動測定
  • シリアルバスとミックスドシグナル解析の表示
  • 信号の周波数ドメイン解析(スペクトラム・アナライザと同様)

オシロスコープの基本操作「システム」

オシロスコープでは、測定と結果の表示のために4つの主要「システム」の設定が調整されます。

1)垂直軸システム

オシロスコープでは、測定と結果の表示のために4つの主要「システム」の設定が調整されます。

2)水平軸システム

オシロスコープでは、測定と結果の表示のために4つの主要「システム」の設定が調整されます。

3)トリガシステム

オシロスコープでは、測定と結果の表示のために4つの主要「システム」の設定が調整されます。

4)ディスプレイシステム

垂直軸システム

縦軸は、時間の関数としての電圧を示します。これは、波形のサイズおよび位置を縦方向に表すのに使用されます。波形の表示とサイズ変更のために、入力信号の増幅または減衰をコントロールするボルト/ディビジョンコントロールが使用されます。

最も重要なのは、垂直軸システムを設定するときに、ボルト/ディビジョンコントロールを使用して画面の波形を最大化することです。つまり、波形が画面の上下で切れないようにしながら、正ピークと負ピークがそれぞれ画面の上下ぎりぎりの位置に来るようにすることです。

これにより、オシロスコープのアナログ/デジタルコンバーター(ADC)のすべてのビットと、ADCのすべての利点が活用されるようになります。また、垂直軸を最大化すると、波形の細かい部分や特徴を容易に見ることができます。

Volts/Div(ボルトパーディビジョン)の感度を上げると波形が縮小

Volts/Div(ボルトパーディビジョン)の感度を下げると波形が拡大

位置コントロールを使用して、画面上の波形を大きくしたり小さくしたりします。

水平軸システム

水平軸システムに関しては、波形表示サンプリングレートの2つの個別のトピックス(側面)を説明する必要があります。

波形表示

水平軸システムの波形表示コントロールは、時間に対応する横軸に関連しています。これらのコントロールは、波形のサイズと水平位置を変更するために使用されます。sec/div(タイムベース設定)は、垂直軸システムのVolts/Divと同様に、各ディビジョンの持続時間を変更します。つまり、オシロスコープ画面内に表示されるサイクル数を変えることを意味します。位置コントロールを使用して、画面内の波形を左右に動かします。

波形表示

サンプリングレート

水平軸システムで、それ以上に重要な側面は、サンプリングです。
水平軸システムは、サンプル/秒またはサンプリング間隔ごとなど、所定のサンプリングレートで入力信号をデジタイズします。これらのサンプルはメモリに保存され、波形記録の一部を成します。

サンプリングレートを高めると、以下のようになります。

  • 表示される波形の分解能が上がり、細部が拡大される
  • 発生頻度が少ないイベントの捕捉可能性が高まる
  • ストレージ要件が大きくなる(必要なメモリ容量が増える)

最適なサンプリングレートはどのようにして決めればよいか?
入力信号のサンプリング速度が遅すぎると、サンプル信号の精度を損なう原因となるエイリアス信号を取得してしまうリスクが生じます。

メモリに保存されたサンプルは、いわゆる波形記録の一部を成します。

ナイキストの法則では、エイリアスを回避するためには、サンプリング周波数が最高周波数の2倍でなくてはならないとされています。一般的には、サンプリングレートはオシロスコープの帯域幅の少なくとも2.5倍にすることが推奨されています。

トリガシステムとトリガモード

ほとんどすべてのオシロスコープの操作ではトリガ機能を必要とするため、トリガシステムは非常に重要です。本質的に、トリガは、オシロスコープが収集開始またはサンプル取得開始する前に満たさなければならない条件を定義します。
トリガ機能は、次の2つの異なる作業を実行します。

まず、サイン波のような繰り返し信号または周期的な信号を、信号上の所定のポイントでそれぞれの掃引を開始させることにより安定させます。

また、トリガは単一パルスやバーストなどの非周期的な単一イベントを捕捉する場合にも使用されます。

トリガを適切に設定することは重要です。オシロスコープ使用時の問題の多くは、トリガ設定が正しくないために発生しています。トリガには多くのタイプがあります。最新式のオシロスコープは、パルス幅、ラント、グリッチなどでトリガできます。最も一般的なトリガタイプは、エッジトリガです。

エッジトリガは、定義された電圧のしきい値を超えたとき、波形上の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジで発生します。

トリガには多くのタイプがあることに加え、さまざまなトリガモードもあります。トリガモードは、トリガが発生しない場合の測定器の動作を決定します。ここでは、オートモードとノーマルモードを区別する必要があります。

オートモードでは、トリガ条件が満たされていない場合、オシロスコープはタイムインターバル後に繰り返しトリガします。実際のトリガが発生すると、これが優先されます。このモードは、トリガが設定される前の波形も含めて、波形を確認するのに役立ちます。画面上の波形は同期されず、連続波形は波形上の同一ポイントでトリガされません。

ノーマルモードでは、すべてのトリガ条件が満たされてトリガが発生した場合、測定器は正常な波形のみを捕捉します。トリガが発生しなかった場合、波形は捕捉されず、前回捕捉された波形が表示されます。以前に波形が捕捉されていない場合は、なにも表示されません。

エッジトリガは、定義された電圧のしきい値を超えたとき、波形上の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジで発生します。

表示システム

アナログオシロスコープでは、表示システムは緑色に輝く軌跡を映すブラウン管に過ぎませんでした。信号の解析または測定時には、しばしばディスプレイ上で目盛りを数えなければなりませんでした。

最新のデジタルオシロスコープは多くの表示および測定機能を備えており、信号のズームイン/アウト、カーソルやマーカーを使用した手動測定などが可能になっています。さらに、数多くの自動化機能も備えています。例えば、ピークまたはピークツーピーク電圧、周波数、立ち上がり/立ち下り時間、スルーレート、クレストファクター、パルスカウントなどがあります。
これらの値の多くは、統計ベースで生成することもできます(統計測定)。

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