オシロスコープのパッシブプローブの理解

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オシロスコープのパッシブプローブの理解

アクティブプローブとパッシブプローブ

オシロスコーププローブは、主に2つのカテゴリーに分けられます。アクティブプローブパッシブプローブです。パッシブプローブにはアクティブコンポーネントがなく、したがって動作にオシロスコープからの電源が不要です。きわめて一般的で、通常すべてのオシロスコープにパッシブプローブのセットが付属しています。実際、パッシブプローブはオシロスコープ間で互換性があり、異なるメーカーのオシロスコープで性能や他の特性が異なっていても互換性があります。

パッシブプローブは、特にアクティブプローブと比較すると廉価で、アクティブプローブより堅牢でもあります。さらに、パッシブプローブはとても使いやすく、複雑な構成もなく、プローブをオシロスコープに接続し、グランドリードを取り付ければ、プロービングを開始できます。

パッシブプローブの減衰

1xプローブ

1xプローブは単純に、オシロスコープを追加で減衰させずにテストポイントに接続します。これはつまり、1xプローブは感度が高く、小信号をより容易に見ることができます。したがって、ピークツーピークで1ボルト未満など、信号レベルが低い場合には1xプローブが便利です。1xプローブは、オシロスコープの入力容量がロー・パス・フィルターとして作用するため、帯域幅が狭いです。低周波のアプリケーションにおいて、例えばプローブが測定した低周波信号の高周波ノイズを除去するために使用する場合、これは長所になります。

10xプローブ

10xプローブは、ほとんどのオシロスコープに付属する「標準的な」プローブです。これらのプローブでは、信号振幅を10分の1に低減します。通常、プローブチップの9 MΩの抵抗器を組み込むことで、電圧ディバイダーとして作用します。この減衰が追加されるため、10xプローブは高電圧測定に適しています。減衰の追加により、オシロスコープの入力インピーダンスも10倍に増加するため、10xプローブでは1xプローブよりも回路負荷が小さくなります。10xプローブのさらなる利点の1つに、帯域幅が1xプローブよりもはるかに広いことがあります。10xプローブのプローブチップにはキャパシタンスが入っており、オシロスコープ固有の入力容量の相殺に役立ちます。これは、方形波やパルスド信号のような高周波成分のある信号を測定する際に特に重要です。

1xプローブ

10xプローブ

自動プローブ検出

オシロスコープはどのようにして1xプローブを使用しているのか、10xプローブを使用しているのかを知るのでしょうか?一部のケースでは、オシロスコープはプローブが1xなのか、10xなのかを検出し、自動で設定を調整することができます。多くの10xプローブにはオシロスコープ側に金属ピンがあるため、オシロスコープの入力にある感知リングにこれが接触すると、オシロスコープは10xプローブが使用されていることを知ることができます。

切換可能プローブ

プローブの中には、側面のスイッチを移動することで1xプローブまたは10xプローブとして使用することができるものもあります。これらは、切換可能プローブと呼ばれています。切換可能プローブを使用するとき、プローブの減衰が自動的に検出されない場合には必ずオシロスコープの設定を調整する必要があります。

金属ピン付きの10xプローブ

プローブに付いているスイッチ

プローブ補正

プローブ補正は、プローブを使用する場合、特に10xプローブを使用する場合には重要です。プローブ補正は、オシロスコープの固有入力容量をプローブチップのキャパシタンスと一致させるために使用します。補正によって測定した信号の振幅やパルス形状の不正確さが抑えられるため、パッシブプローブを使用前に補正するのが適切な方法です。

まとめ

  • パッシブプローブは、オシロスコーププローブの中で最も一般的なタイプです
  • パッシブプローブは廉価で、幅広いアプリケーションにおける堅牢性と操作性に優れています
  • 2つの最も一般的な減衰比は1xと10xです
  • 1xプローブは小信号に適していますが、帯域幅が限られています
  • 10xプローブは大信号に適しており、帯域幅が広く、回路にかかる負荷が1xプローブよりも小さくなります
  • 入力信号を減衰させるプローブを使用するとき、正しいオシロスコープ設定を使用することが重要です
  • プローブの中には、1xと10xの間で切り替えられるものがあります
  • 良い結果を得るためには、プローブを適切に補正することが重要です

測定ニーズに最適なパッシブプローブの選択を、 弊社のエキスパートがお答えします。

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