電源供給回路のインピーダンス測定
ベクトル・ネットワーク・アナライザによるインピーダンス測定には、最大限の精度が必要です。R&S®ZNLを使用すれば、同クラスの製品の中で最小の不確かさで、広範囲のインピーダンスを評価できます。
ベクトル・ネットワーク・アナライザによるインピーダンス測定には、最大限の精度が必要です。R&S®ZNLを使用すれば、同クラスの製品の中で最小の不確かさで、広範囲のインピーダンスを評価できます。
プリント回路基板(PCB)上で、電圧レギュレーターモジュール(VRMまたはDC/DCコンバーター)と1つまたは複数の回路の電源入力を接続する導電性トレースは、一般的にパワーレールと定義されます。これらのトレースすべてのセットによって、PCBの電源供給ネットワーク(PDN)の特性が決まります。
その目的の性質から、PDNの特性インピーダンスはミリオーム(mΩ)レンジであることが求められます。さらに、そのインピーダンスは理想的には周波数によって公称値から増減しないことが望まれます。PDNの周波数応答の解析が重要なのは、VRMから回路に流れる電流には過渡モード(電源投入時、ダイナミック負荷など)があり、スペクトラムの上限が数百MHzに達することがあるからです。
このような周波数では、PDNのすべてのインターコネクトが、物理特性に応じてコイルやキャパシタとして振る舞い、パワー伝送にアクティブな役割を果たすようになります。パワーレール自体は、それ自身のインダクタンスおよびキャパシタンスに応じた特性を持つ伝送ラインとして動作します。これらの共振構造を通じて流れる電流は、回路にとって問題となることがあります(シグナルインテグリティーの問題、電磁界エミッションなど)。このため、PCBのテストやトラブルシューティングなどでは、PDNのインピーダンスの精密な評価が不可欠です。
インピーダンス測定はどんな測定器でもできるわけではありません。測定器によっては、ダイナミックレンジが不十分なために小さいインピーダンスが測定できない場合や、必要な周波数およびその高調波までの掃引が不可能な場合や、PCBに対する適切なインタフェースを備えていない場合があります。ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)なら上記の条件はすべて満たしていますが、インピーダンス測定の精度は、測定器の整合と、反射または伝送確度に比例します。
PDNの場合、1 mΩの誤差によって合否判定テストの結果が左右されることがあります。このため、適切なVNAの選択と正しいテストセットアップの使用によって測定の不確かさを低減することで、誤検出の可能性を下げ、製造歩留まりを改善できます。
伝送測定の確度 | ||
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5 kHzより上 | +5 dB~-35 dB | <0.05 dBまたは<0.5 ° |
-35 dB~-50 dB | <0.1 dBまたは<1 ° | |
-50 dB~-65 dB | <0.2 dBまたは<2 ° | |
仕様は、マッチングの取れたDUT、10 Hzの測定帯域幅、 -10 dBmの公称信号源出力に基づいています。 |
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R&S®ZNLの校正済み伝送確度仕様(振幅と位相)、スペクトラム全体で有効 |
R&S®ZNL ベクトル・ネットワーク・アナライザは、クラス最高の整合と確度を実現し、ラボのテストベンチでも屋外でも、きわめて困難な状況での測定に適した汎用性を備えています。
R&S®ZNLのインタフェースは非常にわかりやすく、RFに関する詳しい知識を持たないユーザーでも、容易に測定をセットアップして、必要なすべてのフォーマットでデータを可視化できます。インピーダンステストを実行するには、測定メニューで次のいずれかのオプションを選択します。
これらはそれぞれ特定の測定セットアップに対応し、特定のインピーダンス範囲に適しています。
3番目のオプションと、ローデ・シュワルツの高品質校正キットを使用した適切な校正を使用することで、インピーダンスが1 mΩよりも小さいPDNの測定を最小の不確かさで実行できます。
R&S®ZNL ベクトル・ネットワーク・アナライザを使用すれば、RFに関する詳しい知識を持たないユーザーでも、さまざまなテストシナリオ(きわめて小さいインピーダンスからきわめて大きいインピーダンスまで)に対応したインピーダンス測定をセットアップでき、高い確度によって、同クラスの他のほとんどのベクトル・ネットワーク・アナライザでは達成できない高い信頼性の結果を得ることができます。
スペクトラム解析やバッテリーパックといった機能をオプションでインストールすることで、R&S®ZNLは、あらゆる測定シナリオに対応する高い汎用性を発揮します。