人工知能

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人工知能 – イノベーションの宇宙を構成する要素

心と機械のチカラで、より安全でつながりあった世界を実現する

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Updated on 2月 21, 2025 🛈
Originally published on 7月 11, 2024

人工知能(AI)の利用が急速に広まったのは、ChatGPTの公開がきっかけです。この生成AIツールは、2022年11月の公式リリースから1週間で、100万回のアクセスを集めたと報じられています。それからわずか3か月後に、ChatGPTの運営企業であるOpenAIは、アクティブユーザー数が1億人に達したと発表しました。

機械学習、大規模言語モデル、生成AI:これほど短期間でこれほど劇的に私たちの世界を変えたテクノロジーが、人工知能(AI)以外にあるでしょうか。この鍵となるテクノロジーは、自動運転や人間型ロボットといった未来のコンセプトを現実に変えるために中心的役割を果たすはずです。ローデ・シュワルツは、人工知能の研究と開発の両方を積極的に推進しており、すでに多くのソリューションでAIを活用しています。

未来を振り返る

1968年に戻ってみましょう。カラーテレビが視聴者の喝采を浴び、通信の分野では、ほとんどの家庭に有線電話が普及しました。トランジスタラジオは、最も人気のあるモバイルテクノロジーの1つです。

この年に公開されたのが、スタンリー・キューブリック監督の名作SF映画「2001年宇宙の旅」です。この映画では木星への旅が描かれていますが、それをコントロールしているのは、高度な人工知能HAL 9000です。このAIは、人間の声で宇宙飛行士と会話し、自律的な意思決定によって宇宙船を制御し、常時システムデータを分析して潜在的問題を監視しています。

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1968年の現実:

1968年の現実:カラーテレビはコンシューマーエレクトロニクス分野の画期的発明でしたが、ほとんどの家庭のリビングに入り込むにはまだ時間がかかるでしょう。回転ダイヤル式の有線電話が一般的に使われていました。一番人気の電気製品はトランジスタラジオでした。これを使えば、どこでも音楽やスポーツ実況を聞くことができるからです。

AIが人々の生活を変える

ほぼ60年後の現在、人工知能はもはやSFではありません。大規模言語モデル(LLM)によるインテリジェントなアシスタントが、スマートフォンで動いています。インターネット上で私たちが目にする個人に合わせたおすすめ情報は、機械学習(ML)によって実現されています。ほかにも、医療、運輸、金融といった分野で画期的な発展があり、AIは私たちの仕事、生活、コミュニケーションのあり方を変えつつあります。

政治や企業も積極的役割を果たしています。政府が法的枠組みを整備する一方で、企業はその用途を模索しています。AIスタートアップ企業と並んで、これらの組織も独自の研究開発を進めています。

Andreas Rößler:ローデ・シュワルツ、6Gテクノロジーマネージャー
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無線通信の分野では、人工知能がレシーバーの信号処理の一部を担える可能性があります。主な目標の1つは、従来の処理アルゴリズムをニューラルレシーバーに置き換えること、あるいは少なくとも従来のアルゴリズムを補完することです。

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Andreas Rößler:ローデ・シュワルツ、6Gテクノロジーマネージャー

ニューラルネットワークがもたらす無線通信のスマート化

世界の主な研究機関や業界の専門家は、未来の無線通信エコシステムについて、6G規格では信号処理に人工知能が用いられると予想しています。その目的は、時と場所を問わず、データレートを上げ、遅延を減らすことにあります。これは、エクステンデッドリアリティー(XR)、自動運転、スマートファクトリーといったアプリケーションで重要な役割を果たします。

モバイル通信業界の長年のパートナーであるローデ・シュワルツは、欧州、アジア、米国の大学や業界団体の6G研究を積極的にサポートしています。ローデ・シュワルツとNVIDIAは共同で、AI技術による無線通信の改善の可能性を示しました。そこでは、ニューラルレシーバーが中心的役割を果たしています。

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未来への道筋:

未来への道筋:6G無線通信の研究はすでにかなり進んでおり、AIにとってさらなる追い風となっています。AIを利用することでデータ転送の効率を上げられるからです。

機械学習が実現する動的な無線通信

従来のレシーバーが数学的アルゴリズムだけで動作するのに対し、ニューラルレシーバーは人工ニューラルネットワークを使用して信号を処理します。これにより、大量のデータからの学習を通じて、あらゆるネットワーク条件に動的に適応することができます。トレーニングされた機械学習モデルによるデジタル信号処理の管理は、モバイル通信における重要な段階の1つです。

ローデ・シュワルツとNVIDIAのニューラルレシーバーは、5Gおよび6G研究専用に作成されたNVIDIAのSionna™オープンソースライブラリを使用して開発されています。この共同プロジェクトでは、ローデ・シュワルツのハイエンドの信号発生/解析用テストソリューションを使用して、ニューラルレシーバーの性能を評価し、シミュレーション結果を確認しています。

Andreas Hägele:ローデ・シュワルツ、マイクロ波イメージング担当バイスプレジデント
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当社のセキュリティースキャナーでは、異常検出のために人工知能が使われています。このイメージング手法は、人体の一部でない物体を検出するように設計されています。

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Andreas Hägele:ローデ・シュワルツ、マイクロ波イメージング担当バイスプレジデント

AIがもたらす安全な空の旅

同社の広範囲のポートフォリオのもう1つの例として、R&S QPS クイック・パーソナル・セキュリティースキャナーが挙げられます。このドイツのテクノロジー企業が開発したソリューションは、全世界の空港で、シンプルで迅速なセキュリティーチェックのために用いられています。

このスキャナーは、ミリ波を使って瞬時に人体をチェックします。反射されたミリ波はニューラルネットワークによって数ミリ秒以内に自動的に評価され、疑わしい物体が存在するかどうかが示されます。

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検出精度:

検出精度:ローデ・シュワルツのセキュリティースキャナーは、約20億個のデータポイントを処理し、ミリ波スキャンの開始後数秒で結果を生成します。

イノベーションを推進するAIインキュベーションラボ

人工知能全般、中でも機械学習の潜在的可能性は莫大です。ドイツでは、企業の5社に1社がすでに人工知能を利用しています。ローデ・シュワルツでは、社内AIインキュベーションラボをはじめとする取り組みが、社内でのイノベーションを推し進めています。さまざまな部門のAI専門家同士の継続的な対話と、インキュベーションラボ自体に蓄積された膨大な専門知識自体が、きわめて効果的な触媒として働いています。

90年以上にわたり、イノベーションはローデ・シュワルツのDNAに組み込まれてきました。当社はこれからも、アイデアを現実に変え、AI、モバイル通信、センサーテクノロジー、計算能力の分野の進歩をシームレスに推進して統合することにより、より安全でつながり合った世界の実現を目指します。

Dr. Andrew Schaefer:ローデ・シュワルツ、テクノロジーコーディネーター(AI)
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AIは驚くべき新機能や新しいビジネスチャンスをもたらすので、理解して使いこなす必要があります。当社のイノベーション精神を活かすことで、パートナーやお客様にとって最適な付加価値を生み出せると考えています。

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Dr. Andrew Schaefer:ローデ・シュワルツ、テクノロジーコーディネーター(AI)

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