Voice over IPへの道を進むATC

航空交通管制用Voice over IP

航空交通管制用VoIP

課題

ATC業界の音声通信インフラの開発では、現在、大きな変化が起こっています。この変化を引き起こしている主な要因は以下の2つです。

  • 電気通信サービスプロバイダーが、リースの回線TDMサービスの段階的廃止を進めている
  • Eurocontrol、Federal Aviation Administrationなどの組織が、航空交通量の増加に対処するために、相互運用性要件を求めている

ATC事業者は、これらの要因がビジネスにもたらす影響を理解し、移行、システムの相互運用性、空域の柔軟な割り当て、コストパフォーマンスのための計画を立案する必要があります。

主要なATCテクノロジー、VoIP

ATC業界が現在直面している課題は、IPテクノロジーの利用を増やすことにより解決されます。VoIPでは、過去のTDMベースシステムでは考えられない機能的で柔軟な運用が可能になります。財務面でも大きな利点があります。

システムコストの削減

多くのATCシステム事業者は、レーダーデータや飛行計画データを送信するために既にIPネットワークを使用しています。このIPインフラを音声にも利用することにより、調達、運用、保守に相乗効果が生まれ、大幅なコスト削減につながります。

以前のTDMベースのシステムは、中央の大型スイッチングノードに依存していました。それに対して、IPベースのシステムは、分散されたネットワークインテリジェンス機能を利用するため、中央のスイッチング機能が不要で、成長に合わせて投資額を増やすスケーラビリティーが可能となります。その結果、ATC事業者は、最初から大型システムに投資する必要がなくなります。これは、投資収益率に直接影響を及ぼします。

信頼性の向上

TDMシステムの信頼性は、一般に、中央の高コスト機器の二重化によってもたらされていました。一方、VoIPシステムでは、インテリジェンス機能がネットワークコアから周辺機器に移ります。インテリジェンス機能がさまざまな構成要素に分散されるため、システムの一部に障害が発生しても、他の部分の動作には影響を与えません。この結果、信頼性と可用性が向上します。

相互運用性

EUROCAEが発行したED-137では、ATC環境内の音声通信でのIPの使用が規定されています。この規格は、EUROCAE、ATC事業者、ATC機器メーカーによって共同で策定されました。お客様はこの規格に準拠した機器を選択することで、各種システムコンポーネント間の相互運用性を確保することができます。

マイクロフォンからアンテナまで提供するお客様のパートナー

ローデ・シュワルツは、世界中のATC事業者のニーズに応えるために、専用のVoIPベース製品を幅広く取り揃えています。マイクロフォンからアンテナまで、すべてを備えたシステムソリューションを提供します。このため、複雑でコストのかかる統合作業は不要になり、プロジェクトのリスクを最小限に抑えることができます。

IPベースのVCS

R&S®VCS-4G 音声通信システム(VCS)は、IPテクノロジーをフル活用し、スケーラビリティー、コストパフォーマンス、将来への対応を可能にします。小規模および大規模な航空路管制センター(ACC)のニーズを満たすとともに、バックアップシステムと管制塔の設置にも対応します。R&S®VCS-4Gは、可用性、信頼性、安全性の面で最高レベルの規格に準拠しています。航空機-地上間通信、機内通話、電話サービスなどの従来のVCSサービスもサポートしています。IPベースの分散アーキテクチャーには、新しいサービス(ビデオなど)の統合や、成長に合わせて投資額を増やすスケーラビリティーなど、他の利点もあります。R&S®VCS-4Gは、EUROCAE ED-137に準拠しています。

IPベースの無線リモート制御ユニット

R&S®GB4000T 制御ユニットとR&S®GB4000V オーディオユニットは、わずかな数の航空機-地上間通信向け管制卓で構成された小規模システム向けIPベースコンポーネントです。コンパクトなデザインなので、オペレーターコンソールに必要なスペースは最小限で済みます。R&S®GB4000Vは、EUROCAE ED-137に準拠しています。

VoIP無線機

R&S®Series4200 無線機シリーズは、ATC市場で入手できる最新の無線機シリーズの一つです。この無線機は、世界中に配備され、高いレベルの信頼性により評価を得てきました。R&S®Series4200の最新モデルはフルVoIP対応で、EUROCAE ED-137に準拠しています。

IPベースのリモート制御とモニタリング

R&S®RCMS II リモート制御/モニタリングシステムは、R&S®VCS-4G システムとR&S®Series4200 無線機をリモートでモニターするための単一ソフトウェアソリューションです。サードパーティーのSNMP対応デバイスもモニターすることができるため、リモートの無線機とVCSサイトの全体的な状況把握に適しています。

ローデ・シュワルツVoIPソリューションのアプリケーションシナリオ
ローデ・シュワルツVoIPソリューションのアプリケーションシナリオ

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