NTNデバイスのテスト

NTN NB-IoT用デバイスのテスト

NTN-IoT用のモバイルデバイスは、シームレスな通信とデータ交換が可能なように設計されています。デバイスの例としては、IoTセンサー、トラッカー、スマートメータ、ウェアラブルデバイス、産業用モニタリング機器などが挙げられます。これらのデバイスは通常、消費電力が小さく、最適化されたネットワークプロトコルを備え、NB-IoT（Narrowband IoT）やLTE-M（Long-Term Evolution for Machines）といったさまざまなIoT通信テクノロジーをサポートします。

NTN-IoTデバイスの開発者は、さまざまな衛星軌道の間の違いとそれぞれの特性を理解する必要があります。さまざまな軌道に対してNTN-IoTデバイスをテストすることは、性能、接続の到達範囲、テクノロジーの全体的経済性を最適化するために不可欠です。

• 対地同期軌道（GSO）は、極を含む高緯度地域をカバーするので、IoTの到達範囲の拡大に役立ちます。
• 対地静止軌道（GEO）は、連続的な地域カバレッジを実現し、アンテナのデザインを簡素化するために役立ちます。
• 低軌道（LEO）は、遅延の小さい高速データ伝送が可能で、困難な条件の下でも信頼性の高い接続を実現できます。

NTN-IoTデバイスとNTN-NRデバイスの間の違い

NTN-NRデバイスには、5G NRモデムまたはチップセットを搭載したスマートフォン、タブレット、ラップトップなどのモバイルデバイスが含まれます。これらのデバイスを使うことで、ユーザーは、高度な5Gサービスにアクセスし、地理的位置と無関係にあらゆる場所で信頼性の高い通信を利用できます。

NTN-NRデバイスは、NTN-IoTデバイスよりも広い帯域幅を使用します。これらのデバイスは、高いスループットを提供し、1 GHz～30 GHzの広いスペクトラムで動作します。NTN-IoTデバイスとNTN-NRデバイスには共通の機能も多くありますが、NTN-NRデバイスのシグナリングレイヤーには、特にモビリティーに対応した設計と最適化が施されており、TN-NTN、NTN-TN、衛星内／衛星間の移行のための条件付きハンドオーバーが可能です。この最適化により、あらゆる地理的場所で中断のない音声、データ、メッセージングサービスを実現できます。

NTNデバイスのコンフォーマンステスト

NTNデバイスのコンフォーマンステストは、NTN通信用のデバイスが、特定の技術規格、例えば3GPP、ETSI、FCC、ITUによって規定されたものを満たすことを確認します。これにより、信頼性の高い効率的な通信が保証されます。テストプロセスは、NTN通信に固有の課題である伝搬遅延やドップラー効果を考慮するとともに、デバイスが衛星の移動から生じるl信号の長いラウンドトリップ時間や周波数シフトに対処できることを確認します。

主なテストカテゴリーとしては、無線周波数（RF）テスト、プロトコルテスト、性能テスト、キャリア受け入れテスト、相互運用性テストなどがあります。これらのテストは、業界内の認定テストラボによって、GCFおよびPTCRBによって規定された認証用の規格と、CEなどの規制要件に従って行われます。

NTNデバイスのテストの課題の解決

非地上系通信の動的な性質、衛星接続の複雑性、テクノロジー環境の進化のために、以下のようなさまざまな課題が生じます。

• 時間同期：UEから衛星までの距離のために、絶対遅延が大きくなります。
• 周波数同期：LEO衛星の移動によってドップラーシフトが生じます。
• 信号フェージング：衛星接続には、大気中と地上のフェージングの複合といった新しいフェージングプロファイルと、気象に固有の影響のエミュレーションが必要になります。
• 小さい信号対干渉＋ノイズ比（SINR）：長い距離のために自由空間経路損失が大きくなり、UE側でSINRが低下します。
• GNSS測定および衛星エフェメリス：衛星までの距離を計算するために、UEの位置を知る必要があります。
• バッテリー効率と電力管理：負荷の高い処理を行う場合、電力節約のための最適化が必要です。
• NTNモビリティー：TNからNTN、NTNからTN、衛星間／衛星内の条件付きハンドオーバー

お客様に最適なNTNデバイステストソリューションのご紹介

ローデ・シュワルツは、NTNデバイステストのあらゆる段階に適したソリューションを提供しています。

• 初期の研究開発：R&S®SMW200A 信号発生器とR&S®FSW シグナル・スペクトラム・アナライザは、NTNテストベッドの作成と、さまざまな軌道でのNTNチャネルの特性の理解に最適です。
• 製品の研究開発：R&S®CMW500 ワイドバンド無線機テスタは、RFパラメトリック／シグナリング／アプリケーションテスト用の最先端のソリューションであり、市場投入までの期間短縮に役立ちます。
• コンフォーマンステスト：R&S®CMW500はPCT、R&S®TS8980 コンフォーマンステストシステムはRFコンフォーマンス、キャリア受け入れ、既成テスト用に最適です。
• ネットワーク受け入れ検査：専用のテストプランを容易に作成するには、R&S®CMW500が役立ちます。
• 製造：R&S®CMW100 通信製造テストセットとR&S®CMP180 無線機テスタは、効率化によって速度と歩留まりの向上を可能にします。
• サービス： R&S®CMW500

エンドツーエンド（E2E）のNTNテスト用に、ローデ・シュワルツとVIAVI Solutionsは共同で、NTNデジタルツインテストベッドを開発しました。これはLEO、MEO、GEOに対応します。このテストベッドには、R&S®CMX500 モバイル通信テスタ（1台でチャネルエミュレーションと3GPPのすべてのフェージングプロファイルに対応）と、VIAVI TM500 AS2およびVIAVI TeraVM リアル・データ・アプリケーション（RDA）エンジンが含まれます。このソリューションを使えば、次のことが可能です。

• E2Eの接続性と性能の検証
• 広い面積でのさまざまなUEタイプ使用時のサービス品質（QoS）の測定
• 衛星とUEの両方の距離、速度、モビリティーを考慮したエンド・ユーザー・アプリケーション性能の測定
• 信頼性の高い安定した性能の検証