TRINICS

TRINICS

TRINICS – BMBFから資金提供を受けた研究プロジェクト

Transparent Information on the Individual Usage of Cloud Services(クラウドサービスの個別使用に関するトランスペアレントな情報)

動機

クラウドコンピューティングは、ユーザーのニーズに応じてリソースを無制限に拡張できることから、急速に普及しています。このため、新しいクラウドベースのサービスが次々と市場に登場し、従来のソフトウェアアプリケーションがクラウドに移行しています。この動向は、クラウドサービスのプロバイダーとユーザーの両方にとって利益があります。サービスは一般的にコストパフォーマンスが高いか無料であり、どこからでもデータにアクセスでき、フェールセーフ性と冗長データストレージが得られます。こういった特長は、自社所有のインフラにはないものです。ただし、このような利点と引き換えに、ほとんどのユーザーが意識していないコストがかかっています。それは、プライバシーの放棄です。クラウドプロバイダーの多くは、自社と外部の両方のクラウドインフラストラクチャを使用しています。このため、どのような組織(企業や外国政府機関)がクラウド内のデータにアクセスできるのかがはっきりしません。TRINICS(Transparent Information on the Individual Usage of Cloud Services:クラウドサービスの個別使用に関するトランスペアレントな情報)プロジェクトは、このような問題に対処しようとするものです。

方法と目標

このプロジェクトの目的は、クラウドユーザーにとっての透明性を改善し、リスクを評価して、データを十分に保護するために必要な行動を決定できるようにすることです。このために、ユーザーのデバイス上のインターネットトラフィック全体が解析され、すべてのアプリケーションについて、使用されたクラウドベースのサービスに関する詳細な統計情報が作成されます。その結果に基づいて、ユーザーは、自身の個人データが、データ保護基準のゆるい国にあるクラウドプロバイダーに転送されたかどうかを知ることができます。それでも、個々のユーザーの行動が危険か安全かという疑問に答えることはできません。そのために、このソリューションでは、自分のクラウドユーザープロファイルを、他のユーザーのプロファイルと匿名で比較できます。個別の状況に応じて、類似したライフスタイルや社会人口学的背景を持つグループとの比較に基づき、ユーザーの行動にどの程度問題があるかを評価して分類できます。さらに、当該グループの平均的なクラウド使用状況を解析することもできます。ユーザーは、異なるグループを比較することで、自身のユーザー行動を適切に分類し、自身のクラウドサービスの使用に関して情報に基づいた意思決定を下すことができます。

エンドユーザーは、アプリを通じてTRINICSプロジェクトの結果を参照できます。また、データはコンソーシアムのパートナーであるRohde & Schwarz Cybersecurityのソフトウェア製品に組み込まれ、ビジネス顧客から利用可能になります。これにより、ビジネスユーザーと個人ユーザーの両方にとって、クラウドベースのサービスの使用に関する透明性とセキュリティーが大幅に向上します。自分自身を他の企業や機関と比較することで、ユーザーは、ドイツや欧州のサービスプロバイダーが比較的高いデータセキュリティーを提供していることに気づくかもしれません。これにより、TRINICSは、ドイツのユーザーや企業のクラウドコンピューティングに関する懸念を減らすことに貢献できる可能性があります。

TRINICSプロジェクトの主な目標は、以下のとおりです。

  • ユーザーのプライバシーを損なわない方法によるモバイルデバイス上のクラウド使用の解析と特定
  • クラウドデータの可視化によるクラウド使用の透明性の実現
  • 社会学的調査とデータセキュリティー規制の遵守によるユーザーの支持の獲得
  • 異なるユーザーグループのクラウド使用の匿名での比較

プロジェクトの組織

TRINICSは、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)からの資金提供を受けた共同研究プロジェクトであり、研究および産業分野で高い専門性を持つさまざまなパートナーが参加しています。このプロジェクトのオーナーはBMBFです。プロジェクトを主導しているのは、Rohde & Schwarz Cybersecurityです。

  • プロジェクト管理:VDI/VDE Innovation + Technik GmbH
  • コンソーシアム:RWTH Aachen University(Department of Computer Science 4 – Communication and Distributed Systems、Institute of Sociology)、Rohde & Schwarz Cybersecurity
  • プロジェクト期間:2016年1月~2018年6月

このプロジェクトの詳細については、www.trinics.deをご覧ください。

結果

パートナーであるCOMSYSの開発結果の一部は、TRINICSエンドユーザーコンポーネントの"CloudAnalyzer"という形で、Androidアプリストアの以下のリンク先で提供されており、GitHubでオープンソースソフトウェアとしても公開されています。

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