DCリンクコンデンサのESRおよびESL

MFIAインピーダンス・アナライザは、研究開発および品質管理用の多目的測定器であり、広い周波数範囲にわたってDCリンクコンデンサのESRとESLを測定するために使用できます。

MFIAインピーダンス・アナライザ
MFIAインピーダンス・アナライザ

課題

DCリンクコンデンサは、DC電力をACに再変換するインバーターステージで広く使用されています。例えば、電気自動車では、結合された絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ(IGBT)がオフになると、寄生インダクタンスに比例した電圧スパイクが誘導されます。そのため、衝撃による損傷を防止するには、コンデンサの等価直列インダクタンス(ESL)を低減させることが重要になります。さらに、デバイスの効率を高め、放熱を抑えるためには、等価直列抵抗(ESR)が低いことが望ましくなります。そのため、対象の周波数範囲にわたってコンデンサの性能を検証する際には、インピーダンス・アナライザを用いて低ESLと低ESRを特性評価することがきわめて重要です。このような測定は、将来のコンポーネント開発のためのベンチマークになります。

正確なインピーダンス測定
正確なインピーダンス測定:MFIAインピーダンス・アナライザとカスタム低ESLフィクスチャを使用したDCリンクコンデンサのインピーダンス測定
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ローデ・シュワルツのソリューション

ESLとESRを特性評価するための測定器セットアップは、固有周波数での自己共振インピーダンスの式からESLとESRを導出するために、LCRメータに加えてオシロスコープと信号発生器を組み合わせたもので構成されます。インピーダンス・アナライザと適切なフィクスチャを使用すれば、仕様書で指定されている周波数だけでなく、実際の動作周波数におけるESRとESLの特性を把握できるため、セットアップが簡素化され、測定機能が強化されます。これにより、DCリンクコンデンサのメーカーとインテグレーターの両者が、早い段階で各々のリスクを軽減することができます。

ローデ・シュワルツの子会社であるZurich Instruments社のMFIAインピーダンス・アナライザは、DCリンクコンデンサの特性評価に最適な測定器です。1 mΩ未満から最大1 TΩまでの広い範囲にわたってインピーダンス測定を実行でき、革新的なアーキテクチャーにより、これらの測定を非常に迅速に実行できます。LabOne計測器制御ソフトウェアを使用すれば、スイーパー、プロッター、スコープ、その他の多くのツールで構成される包括的なツールセットを利用できます。このソフトウェアでは、ESR、ESL、C、Dなどの複数のパラメータを並行して記録できます。

利点

  • 一体型:1台の測定器で、ESR、ESLと、CやDなどの複数のパラメータを測定できます。
  • 正確:Low-Zユーザー補正により、サブmΩ領域で信頼性と再現性に優れた測定を実現できます。
  • 直観的:LabOneのユーザーインタフェースでは、タイムドメインプロッターと周波数ドメインスイーパーツールを用いて、複数のトレースを同じプロット上で可視化できます。
  • 包括的:インピーダンススペクトロスコピーにより、固定周波数ソリューションよりも多くの情報を取得できます。
  • 比較が可能:測定トレースのエクスポート/再インポートを使用して、例えば、コンポーネントの経年変化を調査したり、測定の再現性を確認したりできます。

ローデ・シュワルツのソリューションを選択する理由

  • ショート‐ロード補正手順に基づいて測定面をデバイスのコネクタに設定できる補正アドバイザーが内蔵されています。
  • 100 Hz~5 MHzの周波数範囲にわたって10 pHおよび10 μΩという低い値の測定ベースラインを達成しています。
  • LabOneのスイーパーとプロッターにより、内蔵等価回路から自動的に決定された複数の値とトレースがその場で表示されます。
  • 複雑なラボ環境または製造セットアップへの統合向けに、フルAPIリモート制御が可能です。
  • 独自の測定器/補正設定ファイルを使用することでトレーサビリティーが向上しています。
  • 明確に定義された低ESLフィクスチャにより、優れた信頼性と再現性を実現しています。
MFIAインピーダンス・アナライザによるESL/ESR測定
MFIAインピーダンス・アナライザによるESL/ESR測定:安価なDCリンクコンデンサ(青い曲線)と高性能DCリンクコンデンサ(赤い曲線)のESL/ESR測定をベースライン(緑の曲線)と比較したグラフ

まとめ

Zurich Instruments社のMFIAインピーダンス・アナライザを使用すれば、固定周波数だけでなく広い周波数範囲でDCリンクコンデンサのESL/ESRを測定できます。これにより、メーカーとインテグレーターの両者が、仕様を迅速に確認でき、早い段階で設計リスクを軽減することができます。製造ラインテスト向けには、API制御を使用すればMFIAのテストセットアップへの統合が容易になるため、複雑さを軽減することができます。

MFIAは、多くの異なるインピーダンス測定モードを備えた柔軟な測定器で、経年変化などのコンポーネントの重要な側面を特性評価できます。詳しい説明やデモをご希望の場合は、お気軽にお問い合わせください。