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5月 11, 2021

ローデ・シュワルツとTSN Systems社が、車載Ethernetにおけるナノ秒精度のレイテンシ計測を実現

レーダーやライダー、カメラなどのセンサが自動車に搭載されるようになり、その膨大なセンサデータを数ミリ秒以内に送信・処理する必要があることから、ネットワークのリアルタイム性が非常に重要になっています。そこで、テストや計測技術を専門とするローデ・シュワルツとタイム・センシティブ・ネットワークに高い専門技術をもつTSN Systems社は、強い協力関係のもと、車載Ethernet 100BASE-T1を用いた車内ネットワークの高精度な時間計測に取り組んできました。

先進運転支援システム(Advanced driver assistance system:ADAS)には、高帯域幅で低レイテンシな通信が求められます。こうした要求に応えるため、車載Ethernetはさらに高速なデータ速度とともにタイム・センシティブ・ネットワーク(time-sensitive network:TSN)機能を実現することで、通信ソリューションのデファクトスタンダードになりつつあります。ローデ・シュワルツはTSN Systems社と協力して、車内ネットワークのLayer 1~3についてナノ秒レベルの高い精度での時間測定を必要としているエンジニアに向け、総合的なテストソリューションをご用意しました。この連携に際し、ローデ・シュワルツはR&S RTOを基にした専用オシロスコープ・ソリューションを準備し、一方のTSN Systems社はネットワークへのハードウェア・インターフェースであるTSN Boxと測定・解析ソフトウェアのTSN Toolsを用意しました。このテストシステムでは、トーカー/リスナーおよびテスト・アクセス・ポイント(test accesspoint:TAP)機器として動作するTSN Box 3.0で構成した車載Ethernet 100BASE-T1の通信リンクをモニタリングします。TAP機器であるTSN Box 3.0が、Layer 2およびLayer 3に基づくTSN Toolsによって情報をPCへと送信します。そこで、このTAPによって、物理層遅延の2倍にあたる1.5 μs ±10 nsという遅延を与えます。これに対して、R&S RTOオシロスコープをR&S RTx-K35バス測定・統計オプションと合わせて用い、車載Ethernet信号の物理層(Layer 1)における時間精度を測定・検証しました。平均遅延時間は、最大偏差±10.2 nsのもと正確に1.5 μsと測定されました。さらに、TSN Box 3.0によってQbvトラフィック(IEEE802.1)を500 μsのサイクルタイムで生成したところ、そのジッタは8~20 nsとなり、これもTSNToolsとR&S RTOの両方で確認されました。TSN ToolsとTSN Boxを組み合せると、タイム・センシティブな車載Ethernetのテストと検証に取り組むための広範な機能が整います。TSN ToolsがPC用解析ソフトウェアとして可視化やさらに詳細な分析を行う一方、TSN Boxはネットワークへの高精度なインターフェースとして機能します。この構成によれば、ナノ秒精度の汎用なTSNトーカー/リスナー機器として動作させることが可能です。またTAPは、ネットワークのgPTPマスターに対してトランスペアレントに同期させることができます。そのため、ペイロードのタイムスタンプとTAP時刻の相互性が求められるアプリケーションに非常に有効です。対してR&S RTO オシロスコープのR&S RTx-K35ソフトウェアオプションは、高精度なレイテンシ計測を可能にします。たとえば長期にわたって2台の機器間の通信をモニタリングし、パケットの誤り率に加えてフレームタイミングの統計情報も提供します。また、その間のリンクとしてR&S RT-ZF7テスト・フィクスチャを機能させると、同オシロスコープを用いて送信/受信機器間の双方向な完全モニタリングが可能になります。1/3適切なデコードオプションと組み合わせることで、100BASE-T1の時間データをフレームごとに測定でき、フレーム誤り率や誤りが連続する割合など、エンジニアは全てのバスエラーを取得できます。さらに、車載EthernetやCAN、CAN-FD、LIN、I2C等のあらゆる自動車向けシリアルバス・プロトコルについても精密な時間測定を実行可能です。ローデ・シュワルツの自動車市場セグメント担当マネージャーDr. Nik Dimitrakopoulosは、次のように説明しています。「当社の製品ラインナップは、自動車産業に大きな重点を置いています。そのため、当社オシロスコープ製品シリーズにR&S RTx-K35オプションを加えていただければ、様々な車載通信プロトコルでの正確な時間計測が可能になります。今回、TSN Systems社のTSN Box 3.0機器における時間情報の検証をサポートできたことを非常に光栄に感じています」。TSN Systems社の社長Juergen Scheuring氏も次のように述べています。「次世代のEEアーキテクチャではタイム・センシティブな通信が登場し、OEMメーカーやティア1のテスト・検証部門にとって非常に大きな課題が持ち上がっています。こうした状況にあって、ローデ・シュワルツと協力し、そのLayer 1の分析が可能なクラストップレベルの製品やTSNに関する高度な専門知識の強みを活用できることはとても幸せなことです」。

Rohde & Schwarz

ローデ・シュワルツは、電子計測、技術システム、ネットワークおよびサイバーセキュリティの各部門を通じ、より安全に“つながる”社会の実現に向けて努力を重ねています。グローバルな技術指向のグループとして、90年にわたって先端技術の開発を続け技術の限界を押し広げてきました。当社の最新製品やソリューションは、産業界や規制当局および行政機関のお客様がデジタル技術の主権を得るためのお力添えをしています。ドイツ・ミュンヘンを拠点としたプライベートな独立企業であり、長期的かつ持続的な経営を行える体制を構築しています。ローデ・シュワルツは、2022/2023会計年度(昨年7月から本年6月まで)には27.8億ユーロの純収益を上げました。また、2023年6月30日現在、ローデ・シュワルツでは約13,800名の従業員が全世界で活躍しています。


R&S®は、Rohde & Schwarz GmbH & Co. KG.の登録商標です。

自動車向けテストソリューションについて

ローデ・シュワルツは、テストおよび計測機器の世界的なトップメーカーとして、研究開発に向けた予備検討から実生産まで、自動車開発のすべての段階で専門的なノウハウを提供しています。OEMやTier 1のメーカーに加えてチップメーカーの皆様にも、高頻度で高帯域かつ迅速なテストにおける課題に対し、当社の信頼性の高いソリューションを活用いただいています。とりわけローデ・シュワルツは、レーダー用センサや車載Ethernetのコンフォーマンス、接続性(5G、V2X、eCall、GNSS)、EMIプリコンプライアンスやEMCのテストで市場をリードするほか、インフォテインメント部品のテストや、ECU開発における基板レベルのテスト(ICT/FCT)にも向けても卓越したソリューションをご用意しています。これらテストソリューションはすべて、最も厳しい品質規格に従いつつ、最大限の効率を確実に実現して、様々な車載部品が適切かつ有効に機能すること、さらにはエラー無く周辺環境と通信できることを保証しています。

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