フィールドでの高速な5G波形検証

R&S®Spectrum Rider FPH ハンドヘルド・スペクトラム・アナライザによるフィールドでの5G送信信号の検証

課題

5Gの導入が成功したことで、スループット、遅延、信頼性、スペクトラム効率の向上が非常に強く求められるようになりました。大量のデータを消費するアプリケーションの数が増加するのに伴い、R&S®Spectrum Rider FPH ハンドヘルド・スペクトラム・アナライザを用いて、送信信号が3GPPのガイドラインを満たしていることを確認する作業が必要になります。

通信業界で事業を展開するネットワークオペレーターは、顧客に適正な価格設定で最適なインフラを提供しようと競い合っています。送信される5G DL信号は規格に準拠する必要があるだけでなく、送信バンドパラメータを満たす必要もあります。

5Gダウンリンク信号

3GPPは、FR1とFR2という2つの周波数レンジを仕様化しています。FR1は450 MHz~7.125 GHz、FR2は24.25 GHz~52.6 GHzです。5Gの周波数は40 GHz未満になる傾向があります。周波数ドメインでは、同期信号ブロック(SSB)は240個の連続するサブキャリア(SC)から構成されます。タイムドメインでは、SSBは4個の直交周波数分割多重化方式(OFDM)シンボルから構成されます。

スロットでのSSBの発生は、サブキャリア間隔(SS)ケースタイプに依存します。

図1:5G NRの概要
図1:5G NRの概要
図2:5G SSBシーケンス
図2:5G SSBシーケンス
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図2にSSBシーケンスを示します。SSBはSSと物理ブロードキャストチャネル(PBCH)で構成され、1次同期信号(PSS)と2次同期信号(SSS)、さらに関連する復調基準信号(DM-RS)を含むPBCHがそれぞれ異なるシンボルを占有します。

図3:ユーザーデータを含む5Gダウンリンク信号
図3:ユーザーデータを含む5Gダウンリンク信号
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ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®Spectrum Rider FPH ハンドヘルド・スペクトラム・アナライザは、周波数レンジにかかわらず重さわずか2.5 kgで、44 GHzまでの周波数をサポートします。これは5G候補周波数バンドのほとんどをカバーしています。動作時間は1回の充電で6時間以上です。

ベースモデルでは、占有帯域幅(OBW)、チャネルパワー、スプリアスエミッション、高調波歪みといったスペクトラム解析測定の実行が可能で、これにより、スペクトラム解析測定を迅速に解釈することができます。R&S®Spectrum Rider FPHは、経済的で直感的で堅牢な測定器です。スペクトラムモニター、RFデザイン検証、干渉探索、RFトランスミッターテストにも使用することができます。OBWモードでは、R&S®Spectrum Rider FPHに5Gダウンリンク信号の占有帯域幅が自動的に表示されます。

図3の占有帯域幅は約100 MHzで、5Gチャネル帯域幅の仕様を満たしています。捕捉されたSSB(SS/PBCH信号)の帯域幅も、理論値の7.2 MHz(240サブキャリア×30 kHzのSC間隔)に一致しています。図4は、タイムドメインの5Gダウンリンク信号を示します。SSBの発生に基づいて、これはSC間隔ケースCだと容易に判定できます。規格によれば、スロットの理論的な長さは500 μs、1シンボルあたり33.3 μsであり、送信されたダウンリンク信号と完全に一致しています。
軽量なR&S®Spectrum Rider FPH ハンドヘルド・スペクトラム・アナライザは、送信された5Gダウンリンク信号を屋外で検証するためにすぐに利用でき、複雑なセットアップや高価で特殊なオプションは必要ありません。

図4:ユーザーデータを含む5Gダウンリンク信号のタイムドメイン表示、SC間隔
図4:ユーザーデータを含む5Gダウンリンク信号のタイムドメイン表示、SC間隔