車載用レーダーセンサ製造用のオールインワン・テスト・ソリューション

車載用レーダーセンサは安全性に関わるものなので、信頼性の高い動作を保証するために包括的なテストが必要です。R&S®AREG100A 車載用レーダーエコー発生器は、24 GHzのISMバンドと77 GHzおよび79 GHz周波数バンドのレーダー入力信号を発生するための汎用的な測定器です。R&S ® ATS1500A シールドチャンバと組み合わせることで、最小のフットプリントのコンパクトなソリューションを実現でき、リーン製造環境に最適です。

課題

レーダーセンサは、観測エリア内のレーダーエコーの遅延、ドップラー周波数オフセット、振幅を評価することで、物体の距離、動径速度、大きさを測定します。交差点など複数の物体が存在する環境で、これらのパラメータを同時に判定するためには、レーダーのデザインに関する技術的課題を解決する必要があります。このためには、探知能力、距離、ドップラー/方位角精度、分解能といった主要なレーダー性能パラメータのテストが必須ですが、それには時間と費用がかかります。

製造テストでは、OEM顧客への納品前に継続的な製品品質管理とレーダーの正しい動作を確認するために、製造ラインの最後にセンサの機能に関する高速でシンプルなテストを行うことが不可欠です。最新の多目的かつ柔軟性の高い製造ラインに必要なテストシステムには、フットプリントが小さく、信頼性が高く、テストの再現性に優れ、テスト構成がカスタマイズ可能で、操作がシンプルかつ高いスループットが要求されます。

電子計測ソリューション

R&S®AREG100A 車載用レーダーエコー発生器は、車載用レーダーセンサの製造ラインの最終製造テストでのレーダーエコー信号生成用に設計されたソリューションです。選択可能なレーダー断面積を持つ、最大4つまでの静止物体の距離を設定し、物体の速度をシミュレートするために固定周波数オフセットを追加できます。R&S®AREG100Aには、24 GHzのISMバンドとEバンドの両方のRFフロントエンドが装備されており、適合する標準規格に従ってレーダーセンサの等価等方放射電力(EIRP)をテストするための校正済みのIF出力を備えています。Eバンド用には2つの異なるフロントエンドが用意されており、標準の長距離周波数バンドである76 GHz~77 GHzと、77 GHz~81 GHzの4 GHz帯域幅の周波数レンジをカバーします。これにより、R&S®AREG100Aは、現在と将来のレーダーセンサの製造テストに最適なソリューションとなります。

レーダーエコー生成

R&S®AREG100Aは、選択した周波数バンド内の被試験レーダーからのすべてのレーダー信号を受信します。信号は中間周波数(IF)にダウンコンバートされ、固定の時間遅延(距離)、動径速度(ドップラー周波数シフト)、減衰が受信レーダー信号に付加されます。IF信号は位相コヒーレントにRFにアップコンバートされ、被試験レーダーに再送信されます。被試験レーダーは、自身が送信した信号に変更が加えられたこの信号を受信して処理し、検出した距離、ドップラーオフセット、レーダー断面積(RCS)をレポートします。ユーザーは、必要な物体の距離、RCS、ドップラーオフセットをR&S®AREG100Aで設定できます。

標準装備のリモート制御と、シンプルでわかりやすいGUIの組み合わせにより、簡単に操作でき、テスト自動化環境への統合も容易です。センサの探知性能、センサ分解能、センサ精度といったセンサの製造ラインでの最終テストをクリック1つで簡単に実行できます。

校正済み受信経路

R&S®AREG100Aのフロントエンドの校正済み受信経路を使えば、センサの等価等方放射電力(EIRP)を、ETSI EN 301091-1やETSI EN 302264-1などの適合する規格に基づいて測定できます。このためには、R&S®NRP8SN パワー・センサを接続します。

IF入力/出力ポート

R&S®FSW8 シグナル・スペクトラム・アナライザを追加のIF出力ポートに接続することで、スプリアス・マスクテストなどのスペクトラム測定を実行できます。IF入力ポートには、R&S®SMW200A(6 GHz周波数オプションを搭載)などのベクトル信号発生器を接続して、レーダーエコーに任意の信号を重畳することにより、正規化干渉源へのレーダーの耐性をテストできます。レーダーエコーと注入された干渉信号の両方が、R&S®AREG100Aのフロントエンドを共通に使用します。これにより測定セットアップが大幅に簡素化され、正規化干渉源に対するセンサの信頼性を確実にテストするためのユニークで強力なソリューションとなります。

AREG100AとATS1500Aの組み合わせ
R&S®AREG100AとR&S®ATS1500A シールドチャンバの組み合わせは、フットプリントの小さいテストソリューションです。
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シールドチャンバとの組み合わせ

R&S®AREG100AとR&S®ATS1500A シールドチャンバから構成されるオールインワンソリューションは、車載用レーダーセンサの遠方界テストのための、RFシールドされた再現性の高い環境を実現します。レーダーエコー発生器とシールドチャンバは、フットプリントの最適化を可能にし、製造テストプロセスの全体を通じて威力を発揮する理想的な組み合わせです。

正確な2Dポジショナーが備わっているため、方位角および仰角カバレージテストを容易に実行でき、R&S®AREG100Aで発生したレーダーエコー信号を使用してアンテナを校正できます。

R&S®QuickStepによる自動化

強力なR&S®QuickStep テスト・エグゼクティブ・ソフトウェアを使用すれば、新しいテスト手順の開発、テストの自動化、レポートの作成を柔軟に行うことができます。R&S®AREG100A 車載用レーダーエコー発生器およびポジショナー内蔵のR&S®ATS1500A シールドチャンバと組み合わせることで、テスト開発の効率が向上し、車載用レーダーのテストに関わる労力を最小化できます。

この統合型ソリューションでは、製造ラインでの以下ようなさまざまな最終テストが可能です。

  • 距離、動径速度、角精度測定
  • 距離および動径速度分解能テスト
  • 最小検出可能信号の検証
  • EIRP測定
  • 干渉信号への耐性のテスト

主な利点と特長

  • すべての車載用レーダーバンド、24 GHz、77 GHz/79 GHzに対応
  • 将来に対応した4 GHzの瞬時帯域幅
  • 個別に切り替え可能な最大4つのエコー信号の分解能テスト、制御可能なドップラー周波数シフトおよびレーダー断面積(RCS)
  • 個別のアンテナ構成(MIMOレーダーなど)用にバイスタティックおよびモノスタティックRFフロントエンドが利用可能
  • RFフロントエンドが分離可能な小さいフットプリントにより、シールドチャンバとの統合が可能
  • 校正済み受信経路や追加IFポートを利用して、パワー・センサ、スペクトラム・アナライザ、干渉発生器などの他の電子計測機器を接続可能
  • 最小距離4 m(0.8 mのエアギャップを含む)により短距離レーダーテストが可能
  • 高精度の遅延(距離)とセンチメートル単位の精度によるテスト結果の優れた比較可能性
  • スタンドアロンの市販のソリューション:レーダーセンサとの同期は不要