ピーク性能を実現するための車載用レーダーEIRP測定の克服

車載用レーダーは、衝突回避やアダプティブクルーズコントロールなどの安全システムに不可欠です。レーダーはADAS/ADシステムの柱であり、センサフュージョンの重要な部分を担っています。車載用レーダーセンサの実効等方放射電力(EIRP)は、レーダーアンテナから放射される総パワーで、信号強度およびカバレッジ能力の総合的な指標です(車載用レーダーセンサの性能を評価するために不可欠です)。AREG800A 車載用レーダーエコー発生器では、車載用レーダーセンサを検証する際のEIRP測定を容易に実行できます。

AREG

課題

車載用レーダーのサプライヤは車載用レーダーセンサのEIRPを正確に測定して、規制への準拠、センサの信頼性の保証、センサ性能の最適化、品質標準の維持、ユーザーの信頼の確立を実現する必要があります。これらはすべて、車両の安全性とドライビングにとってきわめて重要です。欧州のETSIなどの規格では、レーダーセンサが別の電子機器と干渉するのを防止するために、放射できる最大パワーに制限を定めています。このような制限に従うことが非常に重要です。EIRP測定を行うことで、レーダーメーカーは研究開発から製造までの領域で製造の品質と一貫性を検証できます。仕様化された許容制限範囲で各レーダーユニットが適正なパワーを放射していることを確認することで、サプライヤは高い品質標準とユーザー満足度を維持することができます。

正確なEIRP測定は、レーダーセンサの性能の最適化に役立ちます。出力パワーとカバレッジを特性評価することで、レーダーサプライヤは、設計を微調整して検出距離を改善し、センサが検出に十分なパワーを備えていることを確認することができます。正確なEIRP測定は、ADAS/ADシステムにおける信頼性の高い効果的な動作と車両全体の安全性に対して、重要な役割を果たします。

ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツは、今日および将来の車載用レーダー向けに信頼性および再現性の高い最先端の電子計測ソリューションを提供しています。精密な設計と高度なテクノロジーを基盤とするAREG800Aは、初期の研究開発から製造まで、正確で信頼性の高いレーダーテスト/測定に最適です。

完全に校正された受信経路(RX入力アンテナからパワー測定出力まで)が、ミリ波リモートフロントエンド(IFドメインのインタフェース)に内蔵されています。AREG800A 車載用レーダーエコー発生器にR&S®NRP8SN パワーセンサを結合すれば、車載用レーダーセンサのEIRPを正確に測定する最適なテストソリューションを構築できます。このソリューションを使用して、レーダーセンサが特定の規格(欧州のETSI)に準拠していることの検証もできます。

R&S®NRP8SN パワーセンサのアーキテクチャーには3つの独立したダイオード経路があり、各々が最適な検出範囲で動作して、レーダーセンサのEIRPを精密かつ正確に特定します。

車載用レーダーEIRP測定
車載用レーダーEIRP測定
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アプリケーション

R&S®AREG8-81S ミリ波リモートフロントエンドをベースユニットに接続して、RFレーダー信号(ISMおよびEバンド)をAREG800A IF(0.7 GHz~5.7 GHz)にダウンコンバートします。R&S®NRP8SN パワーセンサで、ミリ波リモートフロントエンドのIF出力インタフェースをAREG800A ベースユニットに接続します。テスト対象レーダーのEIRP値がAREG800AのGUIに表示されます。

まとめ

ローデ・シュワルツが提供している、信頼性の高い車載用レーダーテストソリューションの豊富なポートフォリオには、以下のような利点があります

  • 研究開発から製造まで、すべての車載用レーダーバンド(ISMおよびEバンド)でレーダーセンサのEIRPを正確に測定
  • テスト対象レーダーのEIRP値をAREG800AのGUIに表示
  • EバンドでのEIRP測定に十分な確度を備えたR&S®NRP8SN パワーセンサにより、優れたコストパフォーマンスを実現
  • 分離可能なRFフロントエンドによりフットプリントを最適化、シールドチャンバとの統合が可能
  • スタンドアロンの市販ソリューション
  • テスト対象レーダーとの同期が不要
  • 高速な実行により最短のテストサイクルタイムを実現
EIRP測定セットアップ
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