IoTデバイスに対する広いダイナミックレンジの電流測定

スリープから受信/送信モードまで、IoTデバイスの動作のあらゆる段階でμAからAまでのさまざまな電流レベルを同時に測定

IoTデバイスに対する広いダイナミックレンジの電流測定 - RTO2044

9桁のダイナミックレンジによる電流測定

最新のIoTデバイスやモバイルデバイスでは、バッテリー寿命がきわめて重要です。消費エネルギーをできるだけ小さくするため、これらのデバイスは、わずかな電力しか消費しない特別なスリープモードでほとんどの時間を過ごし、その間のごく短いアクティビティの間だけ、通常またはハイパワー消費モードで動作します。デバイスが成功するためには、開発の早い段階で消費電力を最適化する必要があります。消費電力の正確な測定には、高度なプロービングソリューションが必要です。プローブは、μAあるいは場合によってはnAレンジのきわめて小さい電流と、最大数Aに達する電流を同時に測定できる必要があります。このように、106ないし109といった広いダイナミックレンジに対応することは、どんな測定機器にとっても容易ではなく、デジタルマルチメータ、電流プローブ、ソース/メータユニット(SMU)などでは不可能な場合もあります。

マルチチャネル・パワープローブ

R&S®RT-ZVC02/-ZVC04 マルチチャネルプローブは、低消費電力のデバイスのバッテリー寿命測定に最適です。これらのプローブを使用すれば、モバイルデバイスのすべての動作モードで、広いダイナミックレンジと高い分解能の電流測定を同時に実行できます。マルチチャネルプローブを使用するには、R&S®RTE1000、R&S®RTO2000、またはR&S®RTP オシロスコープが必要です。R&S®RT-ZVC02/-ZVC04 マルチチャネル・パワープローブは、最大4つの電流入力チャネルと4つの電圧入力チャネルが使用でき、各チャネルが18ビットのADC分解能を備えているので、消費電流の解析に必要なダイナミックレンジが得られます。3個の内蔵シャントと外部シャントモード、および切り替え可能な利得係数の組み合わせにより、入力電流範囲を最適化できます。

電流測定範囲 シャント
±4.5 µA、±45 µA 10 kΩ
±4.5 mA、±45 mA 10 Ω
±4.5 A、±10 A 10 mΩ
±45 mV 1)、±450 mV 1) 外部
1) 電流範囲はシャント値によって異なります。
外部シャントを使用した測定のセットアップ
外部シャントを使用した測定のセットアップ

外部シャントモードは、異なる電流レベルの同時測定に適しています。きわめて広いダイナミックレンジと、最高の垂直軸分解能が得られます。シャントモードでは、R&S®RT-ZVC02/-ZVC04 マルチチャネル・パワープローブの2つの電流測定チャネルが、同じシャント抵抗に接続されます。

2つのチャネルを異なる感度で動作させることで、すべての動作モードの全般的な電流特性を観察(ズームアウト)することも、個々のモードの細部を最高の精度で観察(ズームイン)することもできます。

Z1I1とZ1I2の2種類の異なる感度を使用した同じ電流信号のズームイン表示とズームアウト表示
Z1I1とZ1I2の2種類の異なる感度を使用した同じ電流信号のズームイン表示とズームアウト表示

1回の収集でズームインとズームアウトの両方を実行

このスクリーンショットは、Bluetooth® Low Energyデバイスに対して18 Ωの外部シャントを使用して行ったハイ側電流測定の結果を示します。上のトレースは、アドバタイジングイベント全体の電流(ズームアウト)、測定された最大電流(Max)、消費電荷(Area)を示します。これは、R&S®RT-ZVC04の外部シャントモードの最低感度設定(450 mV)を使用して記録されました。下のトレースは、同じシャント抵抗と、R&S®RT-ZVC04の高感度設定(45 mV)を使用して同時に収集されたものです。このズームイン表示は、電流トレースの細部を観察するために有効です。この設定では電流ピークのためにデバイスの測定範囲が拡大されますが、ゲート測定(Mean)では小さいスリープ電流を分解して約1.2 µAと判定できます。

まとめ

R&S®RT-ZVC02/-ZVC04 マルチチャネルプローブは、きわめて小さい電流を広いダイナミックレンジで検出できます。外部シャントモードでは、同じ測定を異なる感度で実行できるので、全般的な電流のトレンドと細部の動作の両方を観察できます。これらのプローブには、組み込みシステム測定の代表的なプローブ接続方法に対応した、高品質ピン・コネクタ・ケーブルとはんだ付けリードのセットが付属しています。使用可能なオプションとして、さまざまな長さの4 mmコネクタケーブルと、BNCタイプのコネクタケーブルが用意されており、標準のオシロスコープ用電圧/電流プローブを接続して、電圧/電流測定範囲を広げることができます。

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