TD-LTE基地局のオン/オフパワーの試験
R&S®FSWシグナル・スペクトラム・アナライザは、3GPP TS 36.141に準拠したトランスミッターのオン/オフパワーを正確に測定するために必要な広いダイナミックレンジを備えています。
R&S®FSWシグナル・スペクトラム・アナライザは、3GPP TS 36.141に準拠したトランスミッターのオン/オフパワーを正確に測定するために必要な広いダイナミックレンジを備えています。
R&S®FSWとR&S®FSW-K104 測定オプションを組み合わせることにより、最高のタイミング精度を実現して、TD-LTE基地局のオン/オフパワー遷移を観察できます。
TDDベースの通信システムは、タイムドメインを送信期間と受信期間に分割します。タイムドメインのリソースを効率的に使用するために、双方間の遷移は、非常に高速に行う必要があります。
設計時にこれらのトランシーバー基地局のオン/オフ・パワー・レベルを検証するには、ダイナミックレンジの高い測定機器が必要です。
TD-LTE基地局は、3GPP TS 36.141技術仕様の6.4章で定義された以下の2つの送信オン/オフパワーの試験に合格する必要があります。
送信機オフパワー
6.4.1章の送信機オフパワー試験は、基地局の出力パワーが信号のオフ期間中に指定された上限を超えないことを検証するために行われます。
送信機過渡期間
6.4.2章の送信機過渡期間試験は、送信機がオンからオフ(またはその逆)に切り替わる期間が、隣接タイムスロットとの干渉を避けるために十分に短いことを検証するために行われます。
仕様に従って、オン期間中に送信機の最大出力パワーで両方の試験を実施する必要があります。動作出力パワーが最大46 dBmとなるため、測定機器が損傷しないように保護する必要があります。
RFアッテネータはオフ期間中に環境ノイズレベルが増加するため、適切なソリューションではありません。環境ノイズレベルが増加すると、ノイズフロアから信号を区別できなくなる場合があります。さらに、送信機過渡期間試験では、最高のタイミング精度での、17 μs未満の立ち上がり/立ち下がり時間が要求されます。
ローデ・シュワルツは、R&S®FSWシグナル・アナライザによる使いやすいテストセットアップを提供します。このテストセットアップでは高いダイナミックレンジでの測定が可能になり、3GPPで規定される厳しいタイミング精度を実現できます。
RFリミッタを利用して、オフパワー期間中にノイズフロアの絶対レベルを維持しながら、アナライザ入力のピークパワーを軽減します。
タイミング精度要件を満たして測定機器を保護するには、最大出力リークが20 dBm、最大応答時間と回復時間がそれぞれ1 μsのRFリミッタが必要です。
RFリミッタは送信されたパワーのほとんどすべてを反射します。基地局の停止を防止するために、アイソレータと外部アッテネータを追加して反射波を吸収する必要がある場合もあります。信号のオン期間中は制限の対象ではないので、このようなテストセットアップも3GPPに適合します。
厳しいタイミング精度要件を満たすには、外部トリガを使用して、トリガイベントとフレーム開始の時間間隔(トリガとフレームの間隔)を補償する必要があります。
この時間調整測定は、TD-LTEダウンリンク信号を解析するためのR&S®FSW-K104ソフトウェアオプションを使用して、パワー測定の前に実行されます。
推定されたトリガからフレームの値は、その後のすべての測定で自動的に考慮されます。R&S®FSWにR&S®FSW-B24プリアンプオプションを搭載すると、オフ期間測定時のS/N比を改善し、必要な測定確度を実現できます。
キャプチャーデータは、R&S®FSW-K104ソフトウェアによって自動的に処理されます。結果は、パワー対時間グラフと、デルタから限界値、および合否情報を含む結果表の形式で提供されます。ソフトウェアは、アナライザまたは外部PCにインストールされます。すべての測定をリモート制御できるので、このソフトウェアは自動試験システムで使用するのに最適です。
オン/オフパワー測定の実行方法の詳細については、R&S®FSW-K10xソフトウェアのマニュアルを参照してください。