『スター・トレック』と量子テクノロジー

大学院の学位を持つトレンドレーダー

「学位を取得したら、どんな仕事にも対応できるようになれると教授は常々語っていました」と、にっこり笑いながらDilleは回想します。「何かを完璧に行うことはできなくても、その方法を学ぶことはできます」。現在、マーケット・セグメント・マネージャーを務める彼にとって、身につけた幅広い知識は、現在のテクノロジートレンドの理解や、それらのテクノロジーがローデ・シュワルツの将来に寄与するかどうかの評価に際しても大いに役立っています。

電子計測器に関する直感

発明の意義を評価する際、持続可能性は重要なポイントです。開発に時間とリソースを投資するからには、それが企業にとって価値のあるものでなければなりません。産業と研究開発のどちらでも、強い直感に加え、経験と市場とのしっかりとした結び付きが不可欠です。「あるトレンドが今後何年も拡大し続けるかどうかを判断するには、ファクトだけでは不十分です」とDilleは語ります。

あえてリスクをとる

ある程度のリスクは常に織り込み済みです。そのため、Dilleにとって重要なのは、確実なリスク評価です。リスクは心構えの問題であると彼は考えています。「ドイツでは一般に、ミスを犯さないことが最も重要な要素であると考えられています」と彼は語ります。「しかしミスがあっても、そこから学べばよいのです」。そのためには、高い自由度と信頼が必要であり、ローデ・シュワルツはそれらをすべての従業員に与えています。Dilleが重要な役割を果たした一歩は、決して誤りではありませんでした。「Zurich Instrumentsをローデ・シュワルツ・ファミリーの傘下に置くことは、我が社にとって大躍進でした」と、マーケット・セグメント・マネージャーである彼は述べています。「時間がかかり、必ずしも簡単ではありませんでしたが、絶対に正しい決断でした」。

業務のスター・トレック感

Zurich Instrumentsは、ローデ・シュワルツ・ファミリーの最新メンバーの一角です。量子コンピューティング向けの電子計測器市場は、両社にとって大きな可能性を秘めています。量子状態を効率的に作成、記録するには、RF信号を極めて高い精度で生成、測定する必要があります。量子コンピューターの制御システムは、ポートフォリオの1つです。

量子テクノロジーの第2世代は、ゼロからスタートするわけではありません。それでもなお、第2世代は大幅な進化を遂げるとDilleは確信しています。「かつては想像できなかったことでも、突然可能になったりします」。Dilleはそこに「スター・トレックのような感覚」を抱いています。『新スター・トレック（Star Trek: The Next Generation）』で散見されたタブレット端末が今や日常的なアイテムとなったように、他のSFファンタジーも現実化する可能性があります。

黄金の未来に向かって

ローデ・シュワルツが見極めた量子テクノロジーをはじめとする先進的なトレンドがどのような進化を遂げていくのか、Dilleには明確に語ることができません。しかし、彼はローデ・シュワルツと彼の子供たちを含む次世代のために、豊かな未来を実現するための取り組みを進めています。15才の頃の好奇心は今でも生き続け、彼を導いています。